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薬師寺 輝
薬師寺輝の海外ゴルフ通信

ゴルフはその国を映す鏡──マナーとコースが語る文化

国で異なるゴルフ文化。スコットランドやアジアなど、世界のプレースタイルをご紹介。
キングスバーンズ ゴルフ クラブ クラブハウス
キングスバーンズ ゴルフ クラブ クラブハウス

クラブハウスに到着し、しばらくすると、その国のゴルフ文化が見えてくる気がします。建物の佇まい、コースの造り、風の匂い、キャディの距離感、プレーヤー同士の会話。同じスポーツでも、国が変わるとゴルフの「表情」も変わる。今回は、これまで訪れた国々のコースを振り返りながら、その違いを紹介してみたいと思います。

スコットランド・アイルランド(英国)

英国や欧州では、歩きが基本です。手引きカートを押しながら18ホールを回るスタイルは、まるでハイキングのようです。自然と共に過ごす時間そのものが“ゲーム”の一部であり、風や不確定要素の高いアンジュレーションを相手にしたゴルフは、無数の攻略ルートがあります。

スコットランドやアイルランドでは、ゴルフは「ゲーム」、そしてそのゲームを楽しむ仲間の「クラブ」という考え方が明確に分かれています。気候の変化が激しいスコットランドでは、プレーヤーは淡々とプレーし、風を受け入れ、結果を受け止める。そんな姿勢に、英国らしい矜持を感じます。

トランプ ターンベリー アルサ コース

アルサ コース 9番ホールとターンベリー灯台

フランス

フランスのゴルフ場は、どこか“芸術的”です。ゴルフ自体はとても自然で素朴です。一方、コース設計やクラブハウスの建築、レストランのテーブルセッティングに至るまで、細部にセンスがあります。芝の緑と樹木の配置のバランスも美しく、英国からドーバー海峡を渡って伝わったゴルフ文化に、造形美が加わった印象です。

プレーヤーもスタイリッシュ。スコアが悪くても、プレーを楽しむ雰囲気がある。プレー後にはしっかり時間をかけてワインを楽しみながら昼食をとる──そんな余裕が、いかにもフランスらしいなと思います。

テール ブランシュ ホテル スパ ゴルフ リゾートのル シャトー ゴルフコース

テール ブランシュ ホテル スパ ゴルフ リゾート / ル シャトー ゴルフコース

アメリカ

アメリカのゴルフは、広大な土地と効率の文化が生んだスタイルとも言えるかもしれません。設計家がレイアウトしたコースチャレンジや景観を楽しみながら展開していく印象があります。乗用カートは当たり前で、週末のゴルフコンペでは、各ホールから一斉スタートする「ショットガン」など、楽しむことが得意。ドリンクや軽食をカートに積んで売りにくるスタイルもアメリカならでは。

2名乗り乗用カート利用が中心で、歩くスタイルは、市営のパブリックコースやジュニアゴルファーが中心。ハーフターンではホットドッグなどの軽食で済ませ、ラウンド後はクラブハウスのレストランやバーで過ごすのが定番です。プロショップが充実していて、ここで一通りのゴルフ用品を揃えることもできます。

名門クラブではマナーやドレスコードが非常に厳しく、「自由の国」でありながらも、自由の裏にしっかりした秩序がある。メンバーやゲスト向けのイベントが豊富で、様々なフォーマットのゲームを楽しめるのもアメリカらしい特徴です。

キアワ アイランド ゴルフ リゾート cougar point golf course

キアワ アイランド ゴルフ リゾート cougar point golf course

タイ・インドネシア・ベトナム

この3つの国は、東南アジアらしい“ホスピタリティ”を徹底的に追求しています。乗用カート利用が一般的で、ホテルのように立派なクラブハウス。そして、ゴルファー1名にキャディ1名。4サムでは、カート4台とキャディが4名と、賑やかなラウンドです。キャディたちはプレーのサポートだけではなく、盛り上げ役でもあります。冗談を交えながら、ラウンド全体を盛り上げてくれる存在。タイが特に有名ですが、インドネシアベトナムも似た印象です。プレーのテンポよりも、いかに心地よく過ごすか。

ゴルフそのものよりも、「一日をどう楽しむか」が中心にあります。初めての海外ゴルフには、気楽でリゾート感のあるこのエリアがぴったりです。

タイ カントリー クラブ

タイ カントリー クラブのキャディー

マレーシア

マレーシアは、東南アジアの中でも少し特別な存在です。アジアの温かさと英国の伝統、そしてアメリカ的な効率が混ざり合っています。クラブ組織がしっかりしており、クラブ競技も充実。コースはほとんどカート利用ですが、キャディがつかないケースも多く、「1日を楽しむためのゴルフ」というよりも、“ゲーム性を重視するゴルフ”という印象があります。整備の行き届いたフェアウェイと落ち着いたクラブハウスの雰囲気。他の東南アジアのゴルフと比べるとどこかクラシックな気品が漂っています。

ダリット ベイ ゴルフ&カントリー クラブ 11番ホール

ダリット ベイ ゴルフ&カントリー クラブ 11番ホール

オーストラリア

オーストラリアでは、「コンペ」といえば日本でいう“競技”にあたります。
多くのゴルファーがハンディキャップを取得しており、それをベースにゲームとして真剣にプレーします。ラウンド後のビールを楽しみにしながらも、プレー中は皆真剣そのものです。「楽しみ」と「競技性」のバランスが取れていて、ゴルフがしっかりと文化として根づいている国だと感じます。

プレー後のクラブハウスでは、ゲームの勝敗を肴にシガーやビールを楽しみ、ゴルフボールを賭けの対象にするなども多いようです。

バーンボーグル ロスト ファーム

バーンボーグル ロスト ファーム

 

どの国のゴルフにも、その土地らしい空気が流れています。「ゴルフはその国を映す鏡」かもしれませんね。コースの良し悪しだけではなく、文化を感じ取るのもまた、旅ゴルフの醍醐味のひとつかもしれません。

 

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薬師寺 輝

名鉄観光 海外ゴルフ専任アドバイザー

薬師寺輝 Hikaru Yakushiji

ゴルフツーリズムコンサルタント、イベントプロデューサー
NibLinks代表、国際ゴルフツアーオペレーター協会(IAGTO)日本代表、ゴルフ専門誌月刊EVEN「Golf Bucket List」、月刊ゴルフ場セミナー「食わず嫌いのインバウンド」連載中

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