鬼才ピート・ダイのコース ―― 「ダイ・アボリカル」なコースを巡る旅
プレーヤーズ選手権の舞台「TPCソーグラス」
3月に開催される「第5のメジャー」とも称される「ザ・プレーヤーズ選手権」。松山英樹やスコッティ・シェフラー等が死闘を繰り広げる舞台が「TPCソーグラス・スタジアムコース」です。かつて、わずか1ドルで買い取られたという広大な湿地に、設計家の鬼才ピート・ダイが作り上げた傑作です。
ピート・ダイは、日本ではメイプルポイントCCや、成田ヒルズCCなど、多くのゴルフ場を残し、私たちにも馴染みが深いゴルフ場設計家です。ダイの代名詞と言えるのがアイランドグリーン。その中でも、最も有名なのがTPCソーグラスの17番ホールです。なぜ世界中のゴルファーたちは、この危険で美しいホールに惹かれてしまいます。今回は、そんなピート・ダイの「美しき罠」が光るコースを紹介しましょう。
「Dye-abolical(悪魔的)」の真髄
ピート・ダイの設計したホールは、しばしば名前をもじって「Dye-abolical(ダイ・アボリカル=悪魔的)」と評されます。その代名詞とも言えるのが、以下の舞台です。
TPCソーグラス(フロリダ州)
世界で最も有名なパー3、TPCソーグラスの17番ホール。このアイランドグリーンは、当初から綿密に計算されたものではありませんでした。コース造成中、良質な砂を掘り出しすぎた結果、グリーンの周囲が巨大なクレーターになってしまったのです。頭を抱えるピートに対し、妻でありトップアマ、そして共同設計者でもあったアリス・ダイが放った「いっそ、島にしてしまえば?」という一言が、ゴルフの歴史を永遠に変えました。これが、代名詞となるアイランドグリーンの誕生と言われています。
ハーバータウン ゴルフリンクス(サウスカロライナ州)
1969年、若きピート・ダイがジャック・ニクラスの協力を得て作り上げた傑作です。「飛距離よりも正確性」という、当時のパワーゴルフ全盛期に対するアンチテーゼとも言える設計思想は、ここから始まりました。赤と白の灯台を望む18番ホールの美しさと戦略性は、今なお色褪せません。
ウィスリング ストレイツ(ウィスコンシン州)
ミシガン湖畔の平坦な土地に大量の土砂を運び込み、アイルランドの荒々しいリンクスを再現した異空間です。1,000個を超えるとも言われる、数えきれないほどのバンカー群が連なり、18番ホールにはまさに「Dye-abolical」という名が冠されています。
鉄道の枕木で縁取られたウォーターハザードや、錯覚を利用したマウンド群。ダイの設計は、プレーヤーの心理を巧みに揺さぶる美しさに満ちています。造形美にフォーカスが当たる奇抜なイメージが強いですが、ダイは、楽しくも厳しい自然のテスト、というゴルフの醍醐味をとても重要視する設計家で、このバランスこそが永くゴルファーから愛されるコースを作ってきた要因です。
世界中のピート・ダイを攻略するために
上記に挙げた名コースは、幸いなことにパブリックアクセスが可能なリゾートコースとして運営されており、私たち一般ゴルファーもプレーすることができます。TPCソーグラスは予約こそ取れますが、需要に応じて価格が変動し、ハイシーズンにはグリーンフィが高騰。事前のプラニングが重要です。ハーバータウンやウィスリング・ストレイツは、併設リゾートでの「ステイ&プレー」プランを活用するのが、確実でコストパフォーマンスに優れた予約方法です。十分に時間をとって、旅行会社に相談してみましょう。
ピート・ダイのコースは、どれも簡単には攻略できないかもしれません。最終ホールでふと振り返れば、ピート・ダイの仕掛けた罠に幾度となくはまった1日を思い返すことになるかもしれません。
それでも、不思議と清々しい達成感を感じさせてくれるのが名コース。テレビ越しのプロたちのプレーを観て、気持ちが動かされたなら、「ピート・ダイ巡り」をしてみても良いかもしれません。
【ピート・ダイ聖地巡礼 10日間 サンプル行程】
参考までに、ピート・ダイが手掛けた歴史的傑作をアメリカ東海岸から中西部へと巡るプランをご紹介します。
- 1日目:日本発(シカゴ経由でフロリダ州ジャクソンビルへ)(ジャクソンビル泊)
- 2日目:「TPCソーグラス(スタジアムコース)」でプレー(ジャクソンビル泊)
- 3日目:専用車でサウスカロライナ州ヒルトンヘッドアイランドへ(ヒルトンヘッド泊)
- 4日目:「ハーバータウン ゴルフリンクス」でプレー(ヒルトンヘッド泊)
- 5日目:「ハーバータウン ゴルフリンクス」2ラウンド目(ヒルトンヘッド泊)
- 6日目:サバンナから国内線でシカゴへ。その後、専用車でウィスコンシン州のゴルフリゾート、コーラーへ(コーラー泊)
- 7日目:「ブラックウルフ ラン(リバーコース)」でプレー(コーラー泊)
- 8日目:「ウィスリング ストレイツ(ストレイツコース)」でプレー(コーラー泊)
- 9日目:専用車でシカゴの空港へ。帰国の途へ(シカゴ発)
- 10日目:日本着