リキア リンクス

アンタルヤの多くのゴルフ場は2000年前後に開場し、快適さとラグジュアリーを兼ね備えたゴルフリゾートが主流です。フェアウェイ沿いにはユーカリが並び、戦略性を備えたパークランドスタイルがよく見られます。しかし、リキア リンクスはその流れとは対照的に、海沿いの自然地形と砂丘をそのまま活かした、スコットランドの伝統を想起させるリンクスコースとして設計されました。
設計を手がけたのは、名匠ピート・ダイの系譜を受け継ぐ、息子のペリー・ダイ。風を読み、地形と対話しながら攻める“リンクスの本質”を、地中海の地に再現しました。砂丘、ポットバンカー、硬い地面。そこに海風が加わると、ショットの軌道もフェアウェイを転がる白球も、普段のパークランドのゴルフとはまったく異なるリズムを生みます。この地域で唯一無二のリンクススタイルは、まるで伝統的なゴルフの精神が、この地で新しく息を吹き返したかのようです。

リキア リンクスを歩くと、まず芝面の硬さとフェアウェイのうねりが目を引きます。普段のショット感覚とは少し着弾点を変えて転がして寄せていく。リンクスならではの“転がしのゴルフ”は、慣れるまでは難しいものの、空中戦、地上戦と一打一打の選択肢が増える分、プレーそのものが刺激に満ちています。
海と砂丘に囲まれたレイアウトは、ホールごとに景色がガラリと変わり、訪れる日によって風と地形の表情もまるで別物。複数回訪れるなら、全く違ったコースの一面を堪能できる、1コースで2度も3度も美味しいコースです。「今日はどの傾斜に球を乗せようか」そんな小さな挑戦の、成功と失敗の連続が、プレーを進めるほどに積み重なっていくのが、このコースの大きな魅力だと思います。

アンタルヤのゴルフリゾートは、ホテルとコースが隣接し、食事もドリンクも含まれるオールインクルーシブ形式が一般的。ゴルフと食事を心ゆくまで楽しむには理想的な環境です。コースも、生い茂る植物こそ違えど、パークランドのコース設計自体は、馴染み深いものが多いです。その中でリキア・リンクスは、ほかのリゾートゴルフとは明確に別の世界を見せてくれる存在です。
だからこそ、滞在中の1日をこのコースを組み込むことをおすすめします。リンクス特有の緊張感と自由度。海沿いの風を受け、転がしのショットに挑戦すれば、普段の自分のゴルフとは違う景色が見えてきますし、滞在の数日間に、きっと良いメリハリをつけてくれることでしょう。
近代的なスパや豪華なホテルで過ごすアンタルヤのリゾート体験に、リンクスというスパイスを加えることで、旅全体の印象がさらに豊かになる。リキア リンクスは、そんな旅の深みを加えてくれる特別な場所だと思います。