オールド ヘッド リンクス

世界にある約3万5000コースのうち、「本当のリンクス」は246コースしかないそうです。内陸の土地に、人工的にフェアウェーに傾斜を付け、ポットバンカーを配置した、「リンクススタイル」のコースを含むと、ずっと多くありますが、「海沿いの砂丘＝リンクスランド」にあり、多くの土を動かすことなく、自然の地形を生かしてルーティングしたコースは、世界のコースの1％にも満たないということです。

アイルランドは、世界の4分の1のリンクスが集まる国。リンクスといえば、ゴルフの祖国スコットランドを想像しますが、同等もしくはそれ以上に世界的評価の高いリンクスコースが集まる国です。

そんなリンクス大国に於いて、異質な輝きを放つのがここ、オールドヘッド リンクス。断崖絶壁の半島にあるこのコースは、ペブルビーチゴルフリンクスで感じられるような荒々しい美しさが18ホール続くようなスリリングなゴルフコースです。

半島に向かって走らせる車中からゴルファーの心拍数は上がっていくでしょう。

まさか、こんなところにゴルフ場が存在するのか――半信半疑になりながら車を降りると、まるで要塞のようなクラブハウスが現れます。

まるでファンタジー映画のなかに迷い込んだかのようなクラブハウスを出て1番ホールに向かうと、比較的スタートのしやすいホールにホッと肩を撫で下ろすかもしれません。しかし、左サイドが断崖絶壁の2番パー4、少し引っ掛ければ海にボールが落ちてしまう3番パー3など、息を吐く暇がないラウンドが続きます。半島の一番先、灯台の4番に辿り着く頃には、クラブではなく、カメラを持ってシャッターを切ることの方が多くなっているかもしれません。それほど美しく、信じられない光景が続くのがここ、オールドヘッド リンクスです。

全てのホールがシグネチャーホールと呼んでも良いほど、力強く美しいホールが続くコースですが、その中でも特筆すべきホールは12番と17番のパー5でしょう。高所恐怖症の方は、歩くことも躊躇われほど崖近くを打ち進んでいくこのホールは、覚悟を持ってティショットを放つ必要があります。青空に飛んだ白球が落ちる先が崖の下であっても、海に落ちたボールの水飛沫は確認することができないほど水面は遠く果てしないホールです。ゴルフ狂がの夢が詰まった天空の18ホールを、ぜひご堪能ください。