
「ゴルフの目的」 ゴルフはゲーム?レクリエーション?

「どうしてゴルフをするの?」 そんな素朴な問いに、国ごとにまったく違う答えが返ってくるのも、ゴルフというスポーツの面白さかもしれません。仲間と気軽に楽しむため? それとも仕事の一環として?その違いを追いかけてみると、世界のゴルフ文化の奥行きが見えてきます。
世界2位のゴルフ大国とも言われる日本では、90年代以降は「ゴルフ=接待」として発展していった背景があります。クラブハウスは迎賓館のように整えられ、ゴルフ場は“人を迎える場”としての機能を備えています。コンペといえば、18ホールをラウンドし、途中での昼食、終了後の表彰式までが一つのセット。ゴルフが持つ“ゲーム性”より“親睦”を目的としたスタイルが多くのゴルファーに受け入れられています。
一方で、欧米のゴルフ文化はもう少し個人的なスタイルです。受付は簡素なスタートハウスからだったり、クラブハウスもシンプルで、メンバーやゲストの憩いの場として活用されています。日没前の1時間だけ、9ホールだけといった柔軟なスタイルでのプレーも一般的です。
それぞれの国のゴルフ文化をみてみると、大きく異なるのはゴルフを「ゲーム」として捉える姿勢かもしれません。例えばオーストラリアでは、ハンディキャップの取得がプレーの前提で、90%以上のゴルファーが公式ハンディキャップを保持。ハンデがないとコンペに参加できないため、自然と「ゴルフ=ゲームに参加するもの」という意識が定着しています。
ドイツでは“ゴルフ免許”ともいえる「プラッツライフェ」という、最低限のルールや技量を持たないとゴルフがプレーできないという制度が存在します。我々が欧州でプレーをする際は、ハンディキャップ証明書の提出を求められることも少なくありません。
この目的の違いは、コース設計にも色濃く反映されています。日本の多くのコース設計は進行のしやすさや美観への配慮が目立ちます。これに対して欧米のメンバーシップでは、「自分たちが毎週プレーする場所」として、ゲームの面白さを追求した設計されたコースが多いかもしれません。
世界中には、特別な体験を提供するリゾートコースも多く存在し、それらはメンバーシップのコースとは違った体験を提供しています。日本のコースはその中間に位置しているのかもしれませんね。
こうした文化の違いはあれど、どんなスタイルでもゴルフは人と人とをつなぐツールです。たとえば欧米豪のゴルファーは、ゴルフ旅行に出かけたら毎日、ミニコンペを開いて、その日の結果で盛り上がるのが定番。ラウンド後のバーでは、勝ったプレーヤーへの拍手とからかいで始まります。競うことと楽しむことが自然にひとつに重なっているのです。
このコースでは、普段どんなふうにゴルフが楽しまれているのか——旅先のグリーンの上で想いを馳せるのもいいかもしれませんね。