
世界の名コースに刻まれた「悲劇と栄光」

PGA TOUR82勝、メジャー15勝を誇るタイガー・ウッズが「トーナメントでいくつ勝とうが、記憶されるのはメジャーの結果。ゴルフにおける真のチャンピオンは、メジャーでどう戦ったかで判断される」 と語るように、ゴルフ界ではメジャーが特別な存在感を放っています。そして、メジャー開催コースもまた真のチャンピオンを決めるにふさわしい舞台です。そうしたコースを巡ることは、ゴルフ旅の大きな醍醐味のひとつといえるでしょう。
世界の名だたるゴルフコースのフェアウェイには、選手たちの歓喜と挫折、栄光と悲劇が刻まれています。そこは伝説の舞台。今回は、いくつかのメジャー会場を例に、歴史を彩った「悲劇と栄光のホール」を振り返ってみます。
ペブルビーチ ゴルフ リンクスの17番ホール
太平洋に突き出すように設計された17番パー3は、正確なロングアイアンを要求される難ホールです。風とグリーン周囲の複雑な造形により、多くの名手を苦しめてきました。
その一方で、ここで優勝を決定づけたのがトム・ワトソンです。1982年の全米オープン、ジャック・ニクラスの猛チャージに並ばれたワトソンは、17番で奇跡のチップインバーディを決めました。ボギーすらあり得た状況での一打が勝負を決定づけ、初の全米オープン制覇へとつながります。
キャディのブルース・エドワーズが「寄せてくれよ」と声をかけると、ワトソンは即座にこう返しました。「寄せないよ、入れるんだ」
このやり取りは今もゴルフ史に残る名場面として語り継がれています。

ペブルビーチ ゴルフ リンクス 17番ホール
トーリー パインズ ゴルフコース・サウスコースの18番ホール
2008年の全米オープン。不規則に伸びるポアナ芝のグリーンと深いラフが選手たちを苦しめ、まさに“サバイバル”の戦いとなりました。
最大のドラマは72ホール目の18番パー5で訪れます。左膝を痛め、足を引きずりながら戦っていたタイガー・ウッズは1打ビハインドの状況。ティショットをバンカーに、セカンドもラフに入れ、バーディは絶望的に思われました。しかし、長いラフからの3打目は見事にグリーンに乗り、最後の望みをつなぎます。
そして放ったバーディパットは荒れた午後のグリーンを転がり、カップイン。劇的にロッコ・メディエイトに追いつくと、翌日のプレーオフでも勝利を収めました。この大会は「史上最高の忍耐の勝利」と呼ばれ、タイガーの伝説をさらに不滅のものとしました。

トーリー パインズ ゴルフコース サウスコース
セント アンドリュース オールドコースの11番ホール
1921年の全英オープン。19歳のボビー・ジョーンズは、11番ホール、通称「イーデン」の「ヒルバンカー」から脱出できず、4度打っても抜け出せませんでした。苛立ちのあまりスコアカードを破り捨てて途中棄権。後に「ゴルフ人生で最もみっともない失敗」と語ったこの出来事は、やがて“球聖”と称される彼の偉業と対照的に語られるエピソードです。
100年以上経った今もバンカーは同じ場所で、挑戦するゴルファーを阻み続けています。

セント アンドリュース オールドコース
伝説を追体験する旅へ
これらの伝説的ホールは、私たち一般のゴルファーにも開かれています。
ペブルビーチ ゴルフ リンクス
リゾート宿泊や公式予約でプレー可能。費用は高額ですが、太平洋の絶景と歴史の舞台を歩ける体験は唯一無二です。
トーリー パインズ ゴルフ コース
サンディエゴ市営コースで、旅行者でもラウンド可能です。
セント アンドリュース オールドコース
公式プログラムや抽選を利用すれば、伝説のコースをプレーできます。
伝説の舞台を歩くーーこれ以上にロマンチックなことはないでしょう。
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