一度行けば終わらない――タイゴルフという中毒性
世界中のゴルファーが、タイに押し寄せている――それはここ最近の話ではなく、何年も前から続いている現象です。
日本や韓国からはもちろん、英国やドイツをはじめとする欧州各国、さらには北欧からも多くのゴルファーがタイを訪れています。スペインやポルトガルのように、もっと近くに温暖なゴルフリゾートがあるにも関わらず、彼らはわざわざ長距離を移動してタイに来る。そして、何度も戻ってきます。近いから行くのではなく、“わざわざ行く価値がある”場所。なぜ、そこまでしてタイなのか。一度行けば、その理由はシンプルです。タイのゴルフには、また戻りたくなる“体験”があります。
開放感としてのゴルフ
ゴルフというと、どこか「きちんとしたもの」というイメージがあります。クラブハウスでの振る舞いやプレー中のマナーなど、自然と背筋が伸びるような感覚です。
一方で、タイのゴルフはもっと自由です。ゴルフウェアでそのままコースに向かい、ラウンド後はシャワーを浴びてTシャツと短パンで帰る。そんな流れがとても自然で、いい意味で気負いがありません。
ゴルフをしているのに、どこかリゾートにいるような感覚。緊張ではなく、開放感が前に出てくるのがタイの特徴です。
タイのゴルフで欠かせないのが、1人1キャディのスタイルです。距離やラインのサポートはもちろんですが、それ以上に印象に残るのは「場の空気」です。
4人のゴルファーにキャディが加わるとグリーン上には8名。ラウンドは一気に賑やかになります。明るくフレンドリーなキャディと、身振り手振りで時間を共有しながら進む4時間は、どこかイベントのような楽しさがあります。
ゴルフは本来個人競技ですが、タイではそれが“共有する体験”に変わります。専属でサポートしてくれる安心感もあり、初級者も楽しめる環境が整っています。

サイアム カントリー クラブ ローリングヒルズ
ちょうどいいコースの選択肢と1日の満足感
バンコク近郊のコースは比較的フラットで、気軽に楽しめるところが多いのも魅力です。一方で、サイアムカントリークラブのようなチャンピオンシップコースもあり、レベルに応じて幅広い選択肢があります。
難しすぎず、でも物足りなくもない。この“ちょうど良さ”が、もう一度プレーしたくなる理由の一つです。
タイではスループレーが基本で、ラウンドは比較的スムーズに進みます。そのため、1日の中にしっかり余白が生まれます。強い日差しの中でのラウンドと、途中や終了後に飲む冷たいビールやフルーツジュース。ラウンド後はマッサージに行き、食事や街歩きを楽しむ。ゴルフが1日を占有するのではなく、旅の中に自然に溶け込んでいる。このバランスがとても心地いいのです。

いまや「安い」ではなく、「また行きたくなる価値」に
かつてタイは「安くゴルフができる場所」と思われていましたが、今では人気コースは日本の高級コースと同等の価格帯になることもあります。
それでも、世界中の多くのゴルファーが毎年訪れます。コース、キャディ、サービス、そして全体の雰囲気まで含めた体験として考えれば、他では体験できない価値がそこにはあります。
タイのゴルフは、形式に縛られたゴルフから少し距離を置き、「純粋に楽しむ時間」を思い出させてくれる場所なのかもしれません。
だからこそ、一度行けば終わらない。多くのゴルファーが、何も気兼ねすることなく思い切りゴルフを楽しむために、タイに帰ってくるのだと思います。
