次の名コースは、どこに生まれる?
辺鄙(へんぴ)な土地から始まった革命
いまでは世界屈指のゴルフデスティネーションとして知られるバンドン デューンズですが、1999年の開業当時、その計画は無謀とも思えるものでした。
場所は、アメリカ・オレゴン州南西部の海岸線。大都市から遠く離れ、決してアクセスが良いとはいえません。実業家であり、バンドン デューンズの創設者でもあるマイク・カイザー自身も後に、「リンクスゴルフのためだけに、これほど遠い場所まで人々が旅をするとは思わなかった」と振り返っています。
それでもカイザーは、この土地なら世界中のゴルファーが訪れる価値があると信じました。そしてバンドン デューンズは世界有数のゴルフデスティネーションへと成長し、「ゴルフそのものが旅の目的地になる」ことを証明しました。それから四半世紀。いま世界で進む新しいプロジェクトには、その思想の先が見えてきています。
土地が先、ゴルフは後
その思想に大きな影響を受けた一人が、世界各地でゴルフデスティネーションを展開するキャボットの創業者、ベン・コーワン=デュワーです。
若き日のベンは、カナダ東部のケープブレトン島で、世界的なゴルフデスティネーションになり得る海岸線と出会いました。その可能性について相談した相手が、マイク・カイザーです。やがて二人はパートナーとなり、2012年にキャボット リンクスを正式開業させます。
ベンは「私にとって最も重要なのは、その土地です」と語っています。
その言葉通り、世界中のゴルファーが旅をしたくなる土地を見つけ、そこにある地形や景観、歴史を生かしてゴルフ場を造り、滞在に必要なホテルやレストランを整えていくスタイルで、キャボットは、いまや世界各地で新たなデスティネーションを展開しています。
オールド ペティ
その最新の形として注目したいのが、2026年にスコットランド・ハイランド地方で正式開業したオールド ペティです。
キャボット・ハイランドに誕生したこのリンクスは、トム・ドークが設計を担当。モレー湾の入り江、歴史あるオールド ペティ教会、そして約400年の歴史を持つキャッスル・スチュアート。ルーティングは、ハイランドの自然と歴史の中へ静かに溶け込んでいます。
新しいゴルフ場を造ったというよりも、昔からこの土地に眠っていたゴルフを見つけ出した。写真を見ているだけでも、そんな印象を受けます。

Jacob Sjoman_Old Petty Cabot Highlands
ロデオ デューンズ
その思想を受け継ぐのは、キャボットだけではありません。アメリカ・コロラド州東部で開発が進むロデオ デューンズもその代表例です。
マイケル・カイザーの息子たちによるプロジェクト、Dream Golfによる開発の舞台は、海のない大平原に広がる巨大な天然砂丘です。公式サイトには、「ゴルフがやって来るよりもずっと前から、風がこの土地を造っていた」という趣旨の言葉が掲げられています。
ここで主役となるのは建築物ではなく、風が長い年月をかけて形づくった地形です。リンクススタイルのゴルフに必要なのは、必ずしも海ではなく、球を転がして攻略したくなる地形と風だということの証明がされることでしょう。
キャボット レベルストーク
カナダ・ブリティッシュコロンビア州で開発が進むキャボット レベルストークは、マウント・マッケンジーの麓に造られる、キャボット初の本格的なマウンテンデスティネーションです。
ロッド・ウィットマン設計のコースは、コロンビア川を見下ろす起伏のある土地に展開します。2026年秋の限定的なプレビュー営業を経て、2027年の正式開業が予定されています。

Revelstoke Mountain Resort
次の名コースは、どこに生まれる?
バンドン デューンズ、キャボット リンクス、オールド ペティ、ロデオ デューンズ、キャボット レベルストーク。それぞれの景観は、まったく異なりますが共通していることがあります。
最初にリゾートの計画があり、その施設の一つとしてゴルフ場が置かれたのではありません。まず、「ここには世界中のゴルファーが訪れる価値がある」という土地の発見がありました。
海外ゴルフ旅行の楽しみ方も、少しずつ変わってきているのかもしれません。歴史的名コースを巡る旅に加え、ゴルフに適した土地に訪れる旅へ。次の名コースは、まだ世界が十分に知らない土地から生まれるのかもしれません。