世界の名コースが集まる、メルボルン「サンドベルト」を旅する
名コースを巡ることを旅の目的にするなら、ぜひ一度候補に入れてほしい場所があります。オーストラリア・メルボルンです。
メルボルン南東部には「サンドベルト(Sandbelt)」と呼ばれるエリアがあり、世界的に評価されるゴルフコースが驚くほど狭い範囲に集まっています。
その代表が、ロイヤル メルボルン、キングストン ヒース、ビクトリアといった名門クラブです。
世界のゴルフが、再びメルボルンへ
近年、メルボルンの名前を世界のゴルフファンに強く印象づけた大会のひとつが、2019年のプレジデンツカップでしょう。舞台となったのはロイヤル メルボルンGC。タイガー・ウッズが米国選抜のキャプテンを務めながら自らも選手として出場し、最終日に大逆転して勝利した大会です。
そして2028年には、同じサンドベルトにあるキングストン ヒースGCでプレジデンツカップが開催される予定です。ロイヤル メルボルンGCとキングストン ヒースGCは、車で10分ほどの距離。驚くほど近い場所で、世界最高峰のチーム戦が再び開催されることになります。それだけでも、この土地がゴルフの世界でどのような位置にあるのかが分かります。しかし、メルボルンをゴルフ旅の目的地としておすすめしたい理由は、ビッグトーナメントの開催地だからというだけではありません。

キングストン ヒース ゴルフ クラブ
世界の名門を実際にプレーできる
世界のゴルフ場ランキングを眺めていると、上位にはパインバレーやシネコック ヒルズなど、アメリカの超名門プライベートクラブが数多く登場します。
ゴルファーなら一度はプレーしてみたいと思うコースですが、実際にそのティーに立つのは簡単ではありません。多くはメンバーの紹介や同伴を必要とし、プレーしたいという意志があっても、それだけで予約できるものではないからです。
その点、メルボルンのサンドベルトは少し事情が違います。ロイヤル メルボルン、キングストン ヒース、ビクトリアなどは、世界トップ100にも名を連ねる歴史あるプライベートクラブですが、海外から訪れるゴルファーを受け入れる制度を設けています。
もちろん、いつでも自由に予約できるわけではありません。プレーできる曜日や時間帯には制限があり、オフィシャルハンディキャップの提示や所属クラブからの紹介状、ドレスコードなど、それぞれのクラブのルールを守る必要があります。
それでも、世界トップクラスのプライベートクラブが車で15分ほどの範囲にいくつも集まり、それらを一度の旅行で巡ることができる。世界を見渡しても、これほど恵まれたゴルフエリアはそう多くありません。これこそが、サンドベルトの大きな魅力です。

ビクトリア ゴルフ クラブ
アリスター・マッケンジーと「砂」のゴルフ
「サンドベルト」という名前の通り、この地域の大きな特徴は砂質の土壌です。
水はけが良く、硬く締まったフェアウェイ。そしてコースの随所に現れる白い砂のバンカー。木々を背景から消してしまえば、まるでリンクスのような景色が広がります。
この砂地の特性をコース設計に生かし、サンドベルトのゴルフに大きな影響を残した人物が、アリスター・マッケンジーです。後にオーガスタナショナルやサイプレスポイントの設計で知られることになるマッケンジーは、1926年にオーストラリアを訪れ、メルボルンのコース設計にも大きな影響を残しました。
その代表格が、ロイヤル メルボルンGCです。広いフェアウェイを持ちながら、どこからグリーンを狙うかによって次のショットの難易度が大きく変わる。グリーン周辺には深いバンカーが食い込み、硬く速いコンディションでは、バンカーに入ればアンプレヤブルを宣言した方がスコアメークできるかもしれない場面すらあるでしょう。単にまっすぐ遠くへ打つだけでは攻略できない。ボールをどこに置き、どの角度から次のショットを打つのかを考えさせられるのが、サンドベルトのゴルフです。
キングストン・ヒースGCもまた、サンドベルトを代表するコースです。原設計はダン・スーターですが、マッケンジーがバンカー配置について助言したことで知られています。白砂のバンカーとフェアウェイがつくる造形も美しく、2028年に世界のトッププレーヤーたちがここをどう攻略するのか、今から楽しみなコースです。そして、もうひとつ訪れておきたいのがビクトリアGC。
全英オープンを5度制したオーストラリアの名手、ピーター・トムソンとも縁の深いクラブです。クラブハウスには宿泊施設もあり、サンドベルトを巡る旅の拠点として利用することもできます。
そのほかにもヤラヤラGC、コモンウェルスGC、メトロポリタンGCなど、ワールドクラスと言える名コースが半径10キロほどのエリアに点在しています。
一つの名コースを目的に旅をするのではなく、毎日のように異なる名コースを巡ることこそ、サンドベルトというデスティネーションの面白さです。

ヤラヤラ ゴルフ クラブ
日本から意外なほど行きやすい
そして日本のゴルファーにとって、時差が少ないことも大きなメリットです。
ヨーロッパやアメリカへのゴルフ旅行では、到着後の時差ボケを考えて旅程を組む必要があります。せっかく憧れのコースに到着しても、身体がまだ日本時間のままということも珍しくありません。メルボルンは長距離のフライトではありますが、日本との時差が小さいため、到着後も生活のリズムを大きく変えずに過ごすことができます。ゴルフを目的とした旅行との相性は非常に良いと思います。
そして、季節が日本と逆なのも魅力です。日本が冬を迎える頃、南半球のメルボルンはゴルフに適した季節になります。寒さで身体が動きにくくなる日本の冬を抜け出して、半袖で世界トップクラスのコースを歩く。冬の海外ゴルフの行き先として考えても、メルボルンは面白い選択肢です。

キングストン ヒース ゴルフ クラブ
サンドベルトを巡るなら、平日を中心に
実際にサンドベルトへの旅行を計画する場合、ポイントになるのが曜日です。
これらはあくまでメンバーを中心としたプライベートクラブですから、海外ビジターがプレーできる曜日や時間帯は限定されています。そのため、週末を中心に旅行を組むのではなく、平日にゴルフができるように旅程を組むことが重要になります。また、各クラブの予約開始時期やビジター枠も異なるため、「ロイヤル メルボルン、キングストン ヒース、ビクトリアを回りたい」と思っても、単純に3日間並べれば完成するわけではありません。
それぞれのクラブの条件を確認しながら、パズルを組むように旅程を作っていく必要があります。予約だけでなく、ハンディキャップ証明や紹介状などの書類、支払い方法までクラブごとに異なるため、初めて訪れる場合には少々複雑です。だからこそ、サンドベルトをよく知る旅行会社と相談しながら、自分だけの「名コース巡り」を組み立てていくのも、この旅の楽しみ方のひとつでしょう。
最後に、一つだけアドバイスをするとすれば、バンカーの練習は事前にしておいた方が良さそうです。