Norikuradake
日本一高いバス停から初心者でも登れる雲上の頂へ
FEATURE
日本には標高3,000mを超える山が21座ありますが乗鞍岳の最高地点「剣ヶ峰」の標高は3,026mと日本で19番目に高い山です。日本一高い所を走る乗鞍スカイラインの終点「畳平」の標高は2,702mでここまでバスやタクシーで行ける(自家用車の通行は通年規制されています)ためはじめて登山に挑戦する方でも無理なく登ることができます。山頂からは北アルプス、白山連峰、中央アルプスなど360度の展望が楽しめます。
ポイント1
乗鞍岳の最高峰「剣ヶ峰」山頂からは北に百名山の焼岳、奥穂高岳を主峰とする穂高連峰、天を刺すようにそびえる槍ヶ岳と北アルプス南部の主稜脈の連なる様子を望むことができます。その他南側には御嶽山が大きくそびえ、東側は遠く松本平の街並みも見渡せる大展望台です。
ポイント2
バスの終点「畳平」からほぼ中間点の肩の小屋までは自動車が走れる平坦な遊歩道が続きます。その後も剣が峰までところどころ岩がゴロゴロした箇所もありますが、歩きやすい登山道が続きます。シーズン中は多くの登山者が訪れるので譲り合いながらマナーを守って歩きましょう。
ポイント3
乗鞍岳はかつて噴火を繰り返した火山で山頂付近には多くのカルデラ湖が残ります。天気が良いときは濃いブルーの湖面に山々が映り込む景色を見ることができます。畳平の周辺には一周30分ほどで周れる花畑が広がり、ハクサンイチゲやヨツバシオガマなどの可憐な花が多く咲いています。
エリア | 信州・北アルプス |
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標高 | 3,026m(剣ヶ峰) |
適期 | 7月~10月 |
アクセス | ■電車・バス・タクシー JR高山駅より濃飛バスにて平湯温泉(所要約1時間)平湯温泉乗り換え濃飛バスにて乗鞍山頂(所要約50分) JR松本駅よりアルピコ交通にて新島々(所要約30分)新島々乗り換えアルピコ交通にて乗鞍高原観光センター(所要約1時間)乗鞍高原観光センター乗り換えアルピコ交通にて乗鞍山頂行き(所要約50分) ●車 登山口の畳平へは通年マイカー規制が実施されています。 長野自動車道松本ICから国道158号線を経由して乗鞍高原まで約1時間 乗鞍高原にてバス、タクシーに乗り換え 畳平まで約50分 中部縦貫道高山ICから国道158号線を経由してほおのき平駐車場まで約40分 ほうのき平にてバスに乗り換え 畳平まで約45分 |
備考 | 百名山 乗鞍岳登山口の畳平へは岐阜県から登る乗鞍スカイライン、長野県側から登る乗鞍エコーラインとも通年マイカー規制が実施されています。そのため自家用車で訪れる場合は岐阜県側はほうのき平駐車場か平湯温泉からバスに乗り換えとなります。長野県側は三本滝ゲートから上部が規制区間ですが、駐車場が少ないためバスの始発となる乗鞍高原での乗り換えがおすすめです。 |
RECOMMEND
畳平から北アルプスの絶景を見ながら歩く
乗鞍岳は最高峰の剣ヶ峰を中心とした23の峰の総称で、周辺には7つの火口湖と8つの平原があります。バスやタクシーが入れる終点の畳平から、整備された道を景観を楽しみながら登ります。登山道はよく整備されていて危険な場所もないため、初心者でも問題なく登頂できます。ただし、簡単に登れるとはいえ乗鞍岳は標高3,000mを超える高山です。突然の天候の変化や気温の低下に備え、防寒着や雨具は必携です。靴もできれば歩きやすい軽登山靴程度は用意しましょう。
[往路] 畳平…肩の小屋…剣ヶ峰
[復路] 剣ヶ峰…肩の小屋…畳平
… 徒歩
乗鞍へ来るバスやタクシーはすべて畳平駐車場が終点です。畳平には宿泊できるロッジ、バスターミナル内のレストラン、売店など標高2,720mの山の上とは思えないほど施設がそろっています。また乗鞍の山の神様である乗鞍本宮の中之宮も鎮座し、御朱印もこちらでもらうことができます。バスターミナルの裏手には片道15分で登ることができる魔王岳があります。剣ヶ峰まで登る時間がない方や小さなお子様連れの方はこちらの魔王岳へ登ってみましょう。15分の登山とはいえ魔王岳の標高は2,763mです。山頂からは笠ヶ岳、焼岳、槍ヶ岳など、北アルプスの峰々が一望できます。登り始める前に帰りのバスの時間もチェックしましょう。夏山シーズンはバス待ちの方が多く並ぶので時間に余裕を持って下山するように気を付けましょう。
畳平から剣ヶ峰に向かって歩き始める道は車も通れる幅広の道ですが、まずはその横にある富士見岳へ登って足慣らしをしましょう。富士見岳は標高2,817m、畳平から25分ほどで山頂に到着します。東側に開けた山頂からは北アルプスの峰々はもちろん乗鞍岳の東側山麓に広がる乗鞍高原や松本平の街並みが良く見えます。天気が良ければその名の通り遠くに富士山が見えるかもしれません。富士見岳の西側には1年中雪が消えない火口湖の不消ヶ池(きえずがいけ)があります。この池は畳平の飲料水の摂取箇所となっています。
畳平から40分ほど歩くと肩の小屋に到着します。「肩」とは山頂より少し下がった所にある平らな場所のことをいいます。ここまでは比較的平坦な道が続きますが、ここから先の剣ヶ峰へ向けて少しずつ登りの傾斜がきつくなっていきます。肩の小屋では食事をとることもできます。また小屋の周りにはベンチやテーブルもあるのでここで休憩して水分や行動食を補いましょう。肩の小屋の東側斜面には乗鞍大雪渓が広がります。夏でも大きな雪面が残る雪渓では8月まで夏スキーを楽しむ方が多くいます。ただしリフトはないので板を担いで登り、滑り降りたらまた担いで登ることになります。
肩の小屋から1時間ほど登ると乗鞍岳の最高地点、剣ヶ峰に到着します。山頂には乗鞍本宮の奥宮が鎮座しています。ここまで無事登ってこられたことの御礼と安全な下山をお願いしましょう。シーズン中は神主さんがいてお守りなどを買うこともできます。山頂からは南側に御嶽山が目と鼻の先に見え、西側は白山連峰、東側は松本平に八ヶ岳、北に目を移せば穂高連峰と槍ヶ岳など北アルプスの山々が見え、まさに360度の大展望が広がります。頂上直下には食事処や売店のある頂上小屋が夏のシーズン中は営業しています。剣ヶ峰登頂の思い出になる限定のお土産品も販売していますのでチェックしてみてください。
乗鞍岳から観賞できる絶景や温泉・グルメ情報をご紹介します。
夏山のシーズン中、乗鞍岳ではご来光をみる登山が人気です。もちろん畳平のロッジや肩の小屋などに宿泊すればご来光を見られるのですが、シーズン中は平湯温泉やほうのき平の駐車場から未明にご来光バスが運行されています。畳平から20分から30分程度で山頂に登れることから、東側に開けている大黒岳や富士見岳でご来光を見るのが人気です。日の出時刻の目安は7月が午前4時50分頃、8月が午前5時頃、9月が午前5時20分頃でその時間に合わせてバスが運行されます。ただしご来光を見るためのバスなので、天気予報が雨の場合、ご来光バスは運休になります。前日に運行のバス会社のホームページなどで必ず確認をしましょう。
標高2,720mの畳平までバスやタクシーで登れる乗鞍岳ですが、麓の乗鞍高原から片道5時間で剣が峰まで登るルートも人気です。長野県側の乗鞍エコーラインの途中にある三本滝までは自家用車が入れるのでここから登山開始です。水しぶきをたてて流れ落ちる三本滝を見た後、樹林帯の中を登り、エコーラインの車道に沿うように登ります。このエコーラインは自転車のヒルクライムの聖地で多くの方が自転車で山頂を目指しています。途中には休憩できる山荘もあるので、無理せずマイペースで登りましょう。大雪渓の下から肩の小屋へ登っていくと畳平からの登山道と合流して剣が峰を目指します。下りは同じ道なので畳平からバスを利用して三本滝まで戻る方法をおすすめします。
乗鞍岳の周辺には多くの温泉が湧き出ています。岐阜県側には平湯温泉、長野県側には乗鞍高原温泉があります。いずれも山頂からバスで1時間程度で行ける場所にあり、日帰りで入浴できる施設もあります。また乗鞍高原は自家製の手打ちそばの店も多く、昼時には順番待ちになる店や、そばがなくなり次第本日の営業終了という店も多くあります。乗鞍岳の登山後は平湯や乗鞍高原でゆっくり温泉につかり、地元のグルメに舌鼓を打つのもおすすめです。