Yarigatake

槍ヶ岳・やりがたけ(長野県・岐阜県)

すべての登山者が一度は登りたいと憧れる天空を刺す頂

FEATURE

FEATURE

槍ヶ岳・やりがたけ(長野県・岐阜県)の概要

  • はじめて
  • 初級
  • 中級
  • 日帰り
  • 宿泊
  • リフト
  • ロープウェイ
  • ケーブルカー
  • ゴンドラ
  • 百名山

槍ヶ岳は北アルプスの南部に聳え、その名前の通り天を刺すような山容は北アルプスの他の山からはもちろん、遠く八ヶ岳や南アルプスからでもすぐに認識できます。山頂に向かうには槍沢、飛騨沢を登り詰めるか、東鎌尾根、西鎌尾根、大キレットの尾根道を登るかですが、いずれのルートも長く、登山口から1日以上かかります。山頂に向かう最後の登りは梯子や鎖が連続するルートですので、三点支持の基本を習得してから登りましょう。

ポイント1

登山者の憧れ。一度は登りたい山ナンバー1

その名の通り鋭い槍の穂先が天を刺すように聳え立つ槍ヶ岳は標高こそ日本で5番目ですが、登山をする人の憧れ、登りたい山としては日本一です。誰でも簡単に登れるわけではなく、登山口の上高地からは標準タイムで9時間30分かかる長い道のりを歩いて標高差1,600mを登る体力、そして最後に山頂へ向かうところは岩場を登る技術が必要です。十分な経験を積んでから挑戦しましょう。

ポイント2

山頂から見られるのは北アルプスの大展望

山頂直下にの槍ヶ岳山荘から山頂へのルートは梯子や鎖が連続していて、夏山の最盛期には渋滞が起こることもしばしばあります。最後の長い梯子を登ればそこが槍ヶ岳山頂。人が10人も上がれば一杯になってしまう狭い場所に小さな祠が鎮座しています。槍ヶ岳は北アルプス南部の要ともいえる場所に聳えているので、劔、立山、白馬から穂高、乗鞍まで北アルプス全て、遠くに中央・南アルプス、富士山まで日本の名だたる名峰が一望できます。

ポイント3

いつかは歩きたい北アルプスの最深部へと続く縦走路

槍ヶ岳から北西に延びる西鎌尾根は双六岳へ続く人気の縦走路です。さらにその先を進むと三俣蓮華岳、鷲羽岳、野口五郎岳へと続く通称「裏銀座コース」へ続きます。三俣蓮華から分かれてさらに奥へ進むと日本最後の秘境と呼ばれる雲の平へ。どの登山口から歩いても2日以上かかる北アルプスの最深部です。上高地から入山して槍ヶ岳を経由して裏銀座へ縦走するルートは4~5日間、予備日を入れると6日間程度の行程となりそれなりの体力と装備も必要です。

基礎データ

エリア 信州・北アルプス
標高 3,180m
適期 7月~10月
アクセス ■電車・バス・タクシー
JR高山駅より濃飛バスにて平湯温泉(所要約1時間)平湯温泉乗り換え濃飛バスにて上高地へ(所要約25分)
JR松本駅よりアルピコ交通にて新島々(所要約30分)新島々乗り換えアルピコ交通にて上高地へ(所要約1時間05分)
●車
登山口の上高地へは通年マイカー規制が実施されています。
長野自動車道松本ICから国道158号線を経由して沢渡(さわんど)駐車場まで約1時間 沢渡駐車場にてバス、タクシーに乗り換え 上高地まで約30分
中部縦貫道高山ICから国道158号線を経由して平湯あかんだな駐車場まで約45分 平湯あかんだな駐車場にてバスに乗り換え 上高地まで約30分
備考 槍ヶ岳へは上高地から徳澤、横尾を経て槍沢を登るルートが途中に休憩箇所や小屋もあり一般的ですが、新穂高温泉から飛騨沢を登るルートや燕岳から大天井岳を経由して登る東鎌尾根ルート、双六岳から登る西鎌尾根ルートなどの縦走コースも人気です。
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槍ヶ岳・やりがたけ(長野県・岐阜県)のおすすめコース

上高地から槍沢経由で槍の穂先へ
槍ヶ岳への登山口はいくつかありますが、はじめて槍ヶ岳に挑戦するなら、長野県側の上高地から槍沢を登っていくルートがおすすめです。上高地は日本有数の山岳リゾートで夏山シーズンには東京や名古屋から直行バスも運行されます。上高地から明神、徳沢、横尾まで約3時間かけて平坦な道を歩きますが、槍ヶ岳へ登るための適度な準備運動となります。横尾についてもまだ槍ヶ岳はその姿を見せません。しばらくすると一瞬だけ槍ヶ岳がその姿を見せる場所もありまが、槍ヶ岳が見えるにはまだまだ先です。槍沢ロッジを過ぎたあたりから道は徐々に斜度を増してだんだんきつくなってきます。天狗池への分岐を超えると道はさらに急になりますが、このあたりから槍ヶ岳が目の前に大きく見えてきます。ヒュッテ大槍への分岐、殺生ヒュッテも脇を抜けて、最後の急登を超えると頂上直下の槍ヶ岳山荘に到着です。一息ついて槍の穂先へ。梯子や鎖を慎重に登りつめた先の山頂からは360度の展望が広がります。

コースの概要

[1日目] 上高地…明神…徳澤…横尾…一ノ俣…槍沢ロッヂ(泊)
[2日目] 槍沢ロッヂ…大曲…天狗原分岐…坊主岩小屋…殺生ヒュッテ…槍ヶ岳山荘…山頂…槍ヶ岳山荘(泊)
[3日目] 槍ヶ岳山荘…天狗原分岐…大曲…槍沢ロッヂ…横尾…徳澤…明神…上高地 … 徒歩

槍沢ロッヂ

上高地から槍ヶ岳までの登山ルートのほぼ中間点の樹林帯に建ち、梓川最上流の川音が心地良い山小屋です。創業は大正6年で北アルプスでは2番目に古い山小屋として知られています。建設当時は現在の小屋より1キロほど登ったババ平(現在はテント場になっています)に建てられて、いました。山中の山小屋には珍しく浴室があり、一日の疲れと汗を流すこともできます(環境保護のため、石鹸・シャンプー・歯磨き粉などの使用はできません)。槍沢を登るルートでは途中で槍ヶ岳の姿が見られる場所は少ないのですが、槍沢ロッヂの前からは少しだけ槍の穂先を見ることが出きます。

天狗原分岐から天狗池

槍沢ロッヂから徐々に標高を上げてババ平、大曲を過ぎてくると少しずつ稜線が見えています(まだ槍ヶ岳は見えてきません)。ロッジから約2時間ちょっとで天狗原への分岐に到着します。ここから天狗池まで往復1時間40分のルートがあります。時間に余裕があれば寄り道してみましょう。天狗原自体は「天狗原カール」と呼ばれる圏谷地形(氷河の侵食作用によってできた広い椀状の谷)です。ここにある天狗池は槍ヶ岳が湖面に映る「逆さ槍ヶ岳」が見られる場所として有名です。ただし、池の全容が見られるのは雪渓が解けきる8月中旬以降で、ベストシーズンは9月中旬頃の紅葉時期です。天狗原まで登ったら槍沢ルートに戻らずそのまま稜線へ向かえば約2時間で南岳に到着します。ここには南岳小屋がありますので、ここで1泊して翌日天空の縦走路を槍ヶ岳に向かって歩くルートも選択できます。

槍ヶ岳山荘

長い上りを終えてたどり着く槍ヶ岳直下には標高3,100mの稜線上に建つ槍ヶ岳山荘があります。ここから最後の難関、槍ヶ岳の頂上へアタックしますが、その前に少し呼吸を整えて、不要な荷物を預けて軽やかになって頂上へ向かいましょう。長い梯子や鎖が続くルートは登りも下りも慎重に。無事頂上から戻ってきたら改めて小屋の前からの景色を堪能しましょう。登ってきた槍沢、その向こうに見える常念山脈、右手には北穂へ続く岩の峰、小屋の裏手に回れば目の前に笠ヶ岳、西鎌尾根から続く双六岳と裏銀座の峰々、遠く劔、立山など北アルプスの名だたる名峰を見ることができます。槍ヶ岳山荘の名物と言えば「キッチン槍」で販売される焼き立てのパン。まさに日本一高いところにありパン屋さんです。このパンを目当てに登ってくる方もいるほどです。

コースの見どころや楽しみ方

槍ヶ岳へ登りたい!北アルプスの王道ルート

登った人だけのご褒美は北アルプスの山の絶景

  • 絶景
  • 写真撮影
時 期
7月~10月
場 所
山頂付近

槍ヶ岳は北アルプスの南部に位置する高峰です。山頂からは天気が良ければ北アルプスの北部、後立山連峰の白馬岳や劔・立山、最深部に聳える薬師岳、水晶岳、鷲羽岳など、もちろん穂高連峰から乗鞍岳までほぼ全域を見ることができます。もちろん東から南側には八ヶ岳、中央アルプス、南アルプスの山々と富士山が。長い登りの道のりを歩いてきた人だけが見ることができる絶景です。槍ヶ岳山荘に宿泊すれば笠ヶ岳に沈む夕陽、朝日を浴びる穂高岳のモルゲンロートなど時間ごとに廻りの山は表情を変えて、いつまで見ていても飽きることはありません。

きつい登りも癒してくれる高山植物

  • 写真撮影
時 期
7月上旬から8月中旬
場 所
槍沢カール上部

坊主岩小屋の手前あたりで標高は2,500mを超えて、登山道の周囲は今までの樹林帯からハイマツ帯に植生が変わってきます。このあたりからはいたるところに高山植物が群生してるいわゆるお花畑が広がります。7月の上旬くらい、まだ雪が残る時期から白いハクサンイチゲ、黄色のミヤマキンバイ、ウサギギク、ピンクのコイワカガミ、紫のチシマギキョウやミヤマトリカブトなどなど・・・色とりどりの花が咲き誇り、つらくて心折れそうになる登りのルートも少しですが癒されます。

登山後の疲れは温泉で癒して

  • 温泉
時 期
7月~10月
場 所
上高地、新穂高

槍沢ルートの登山口「上高地」からシャトルバスで30分、自家用車の乗り換えターミナルになっているのは岐阜県側は「平湯」長野県側は「さわんど」です。平湯は奥飛騨温泉郷の中心地で多くの温泉旅館や日帰り入浴施設があります。また槍ヶ岳から飛騨沢を降りてきた終点の新穂高温泉にもいくつか入浴施設があります。長野県側にはさわんどに温泉施設があり、こちらも入浴施設があります。さわんど以外にも秘湯の一軒宿の「中の湯」や「坂巻温泉」など多くの秘湯ファン憧れの温泉も多く、ぜひ登山後の疲れは山のいで湯で癒してください。

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