Danger
登山・トレッキングのリスクを考え、その芽を摘み取りましょう
POINT
登山・トレッキングには少なからず危険がつきまといます。危険と考えられるものの中でも「道迷い」「怪我」「急病」は大きなトラブルにつながります。しっかりと事前準備をしておきましょう。
危険1
道迷いは、初心者だけでなくベテランでも起こす可能性がある登山・トレッキングのリスクのひとつです。道迷いには様々な要因が考えられます。悪天候による視界不良、確認不足による思い込みなどで、いずれも技量不足と準備不足が大きな原因です。
道迷いを予防するためには、入念な準備が最も重要です。事前に天気予報を確認して悪天の中での登山・トレッキングは避けましょう。GPS機能を持つスマホアプリやGPS専用機を利用すると安心ですが、バッテリー切れや故障などの場合でも対応できるよう紙の地図も併せて使いましょう。地図を読む際にはコンパス(方位磁石)が必要です。現在地点と目的地の方角をこまめに確認しましょう。万が一、道迷いを起こして登山道を外れた場合はパニックにならず、落ち着いて来た道を引き返し登山道に戻ることが大切です。暗くなってからの行動は危険なので避けましょう。登山届はもちろんですが、家族や知人には出発前に行動予定を伝えておきましょう。誰でも道迷いの可能性があり、登山道が明瞭なルートでも天候が悪化して視界が悪くなれば方向感覚を失うこともあります。予備の水や食料、ヘッドランプ、レインウェア、エマージェンシーシートなどは必ず持っていきましょう。
危険2
怪我の主な原因は転倒です。舗装路で転倒する場合と比べて登山・トレッキングでは坂道や階段など勾配のある場所での転倒が大怪我につながります。転倒による滑落は命にかかわることもあります。その他、野生動物や毒虫による被害も考えられます。山には様々な怪我のリスクがありますが、入念な準備と共に日頃の体力づくりで大きな事故を防ぎましょう。
怪我の主な原因は転倒です。転倒により滑落に至ると命に関わる大怪我をすることもあります。下りは膝への負担が大きく、バランスを崩しやすいことから、転倒は登りよりも下山時の方が多いと言われます。転倒を防止するためには、自分の体力・技術に合った計画を立てることが最も重要です。自分の体力を過信して実力以上の計画を立ててしまい、下山までに体力を使い果たしてしまうケースがあります。どんなに機能性が高い道具を使っても、自分の体力と技術以上の計画をしては宝の持ち腐れになります。登り下りの高低差、歩行予定時間、当日の天候、ルート上の危険個所など、入念にチェックしましょう。
昔は登れたという過信は禁物です。直近1年間の経験を基に計画しましょう。経験が少ない方は登山経験が豊かな方のアドバイスをもらったり、同行してもらうことをおすすめします。周りに経験者がいない時はツアーに参加したり、登山ガイドに案内を依頼することを検討しましょう。万が一の怪我に備えて、持ち物・装備の中には包帯や絆創膏、消毒薬、虫刺され薬などを入れたファーストエイドキットを入れましょう。
危険3
登山・トレッキングの最中に急病を発症することは予測しにくいものです。しかし、非日常の世界である山の中で病気になることはその後の歩行に大きな支障をきたすと共に精神的な不安にもなります。日頃の体調管理はもちろんですが、登山・トレッキング中にも体調の変化に気を配る必要があります。
持病がある場合はかかりつけ医に相談した上で登山・トレッキングの計画を立て、常備薬も必ず携帯しましょう。普段は健康であっても、登山・トレッキング中に思わぬ体調不良を起こすこともあります。怪我の場合にも言えることですが、途中でリタイヤすることを想定して登山・トレッキングの計画を立てましょう。引き返す際のエスケープルート(最短で安全に下山できるルート)の想定、山小屋や避難小屋の確認、携帯電話などの通信手段を持つと共に通信状況もわかる限り調べておくと安心です。
危険4
高山病とは、標高が高い場所で酸素が不足するときに発生する症候群です。山に登る人にはよく知られている病気で、一般的には標高2,500m以上で発生することが多いと言われています。日本の山では富士山や日本アルプスなどの高山で発症することがあります。高山病の症状は「頭痛」「吐き気」「めまい」などです。症状が悪化すると行動に支障をきたし、肺水腫などの重篤な状態になると命の危険にもつながります。
高山病を予防する最善の方法はゆっくり歩行することです。高所順化と呼ばれる方法で、酸素の薄い場所に少しずつ体を慣らして高山病の発症を防ぎます。また、深呼吸や水分補給をこまめに行うことも高山病を予防すると言われています。ダイアモックスなどの予防薬もありますが医師の処方が必要です。もし、高山病の症状を発症して悪化した場合は速やかに下山しましょう。ほとんどの場合、下山すると回復します。
危険5
夏の暑い時期に登山・トレッキングを行う際のリスクに熱中症があります。熱中症とは、高温多湿の環境下で体が適応できなくなり、めまいや倦怠感、吐き気、筋肉痛やけいれんなどの症状を起こすことです。重篤な状態になると意識を喪失し死に至る場合があります。山だから涼しいだろうという思い込みで行動すると大きなトラブルになる場合があります。
熱中症を予防するためには、まず体温の調整をすることです。登りの登山道や樹林帯の蒸し暑い場所では厚着をしないように気を付けましょう。大量に汗をかく場合は、水分と電解質を補うためにこまめに水分と塩分の補給をしましょう。スポーツドリンクが効果的です。熱中症が疑われる場合は歩行を直ちに中止して日陰で休み、水分と電解質を補給しましょう。首や脇の下、足のつけ根などを冷やすと体を効率よく冷やすことができます。
危険6
低体温症とは、深部体温(身体の中心部の体温)が摂氏35度を下回る状態のことを言います。低体温症は冬の時期に発症するイメージがありますが、標高が高い山は平地より気温が低いので、雨や風の影響を受けると夏でも起きることがあります。倦怠感や思考能力の低下などが表れ、やがて意識が朦朧として死に至るケースもあります。
登山・トレッキングで低体温症が起きる原因の大半は雨と風によるものです。雨天時は登山・トレッキング用レインウェアを正しく着用して、体を濡らさないようにしましょう。暴風雨の場合は速やかに引き返すか避難しましょう。歩行ができなくなり停滞する場合はジャケットやダウンなどを着て保温に努めてください。温かいスープや飲み物を飲むことも効果的です。
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