Ishizuchi
山岳信仰の聖地で西日本の最高峰
FEATURE
石鎚山は日本を代表する山岳信仰の聖地であり、現代でも信仰のために登拝する信者が絶えません。そして、西日本の最高峰で日本百名山のひとつであることからレジャーとしての登山・トレッキングを楽しむ人も多い四国屈指の名峰です。
ポイント1
石鎚山は古来より山岳信仰の山、修行道場として発展を続けてきました。毎年7月1日~10日は「お山開き」の神事が執り行われます。初日の1日だけは「女人禁制」となりますが、それ以外は老若男女問わず多くの信者が中宮成就社や山頂の奥宮頂上社を目指して登拝します。なお石鎚山神社のお参りの作法は、他の多くの神社と同じように「二拝・二拍手・一拝」となります。
ポイント2
石鎚登山ロープウェイは麓の下谷駅から石鎚山中宮成就社がある成就駅まで高低差約840mの急斜面を8分ほどで結びます。山頂への登山・トレッキングが目的でなければ、はじめての登山・トレッキングや初級者でも気軽に歩くことができます。季節により運行時間が変わったり、運休日がありますので事前に確認してから出かけましょう。
ポイント3
日本有数の霊峰である石鎚山は、霊峰と呼ばれる富士山や立山、白山、御嶽山などとは異なる空気感が漂います。八十八ヶ所霊場がある四国の山ならではの雰囲気と言えましょう。独特の風習もあり、例えば、石鎚山ではすれ違う人に対して、登山中の方には「おのぼりさん」、下山中の方には「おくだりさん」と声を掛け合います。また、石鎚山の周辺では、お遍路に食料などを与える「お接待」の文化が根付いています。レジャーで登山・トレッキングを楽しむ中で、悠久の歴史や独自の文化を感じることができます。
エリア | 中国・四国 |
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標高 | 1,982m(天狗岳) |
適期 | 5月~10月 |
アクセス | ■路線バス JR伊予西条駅より石鎚ロープウェイ前まで約1時間 ■車 伊予小松ICより約1時間30分 または 伊予西条ICより約2時間 |
乗り物 | 石鎚登山ロープウェイ |
RECOMMEND
ロープウェイを利用して山頂へ至る定番ルート
石鎚山には数多くの登山ルートがありますが、一般的には、石鎚登山ロープウェイを利用する成就社コース、石鎚スカイラインまたは瓶ヶ森林道でアクセスする土小屋コース、そして面河渓谷コースの3つがあります。縦走コースも楽しいですが、はじめて石鎚山を歩くのであれば、ロープウェイを利用する往復コースがおすすめです。石鎚神社中宮成就社でお参りをして、途中の修行のための鎖場を横目で見て山頂・弥山に到着します。弥山からは最高峰の天狗岳の雄姿を望むことができます。途中に休憩できる茶屋もありますので、朝一番のロープウェイで登り、ゆっくり歩いてみましょう。
下谷駅+++(石鎚登山ロープウェイ)+++成就駅…八丁坂…前社ヶ森…夜明かし峠…(鎖場迂回路)…石鎚山山頂・弥山…(鎖場迂回路)…夜明かし峠…前社ヶ森…八丁坂…成就駅+++(石鎚登山ロープウェイ)+++下谷駅
…徒歩、+++ロープウェイ
石鎚登山ロープウェイは、下谷駅から成就駅までの高低差約840mの急斜面を8分ほどで結んでいます。ロープウェイを利用することで険しい山道を短縮して山頂まで日帰りで歩くことができます。季節によって運行時間が変わったり、運休することがありますので事前に確認してから利用しましょう。
石鎚登山ロープウェイを下車して20分ほど歩くと石鎚神社中宮成就社に着きます。役小角がこの地で石鎚山の開山を願い成就したことからこの地名が付いたといわれます。南東の登山口である土小屋の遥拝所を並び霊峰・石鎚山登拝の重要な拠点となっています。
石鎚山は修験道の聖地です。「鎖の行場」として知られ、前社ヶ森から山頂に至る登山道には「試しの鎖」と3箇所の鎖がかけられています。鎖の距離は合計230mほどにもなります。鎖場にはすべて迂回路が設けられていますので、安全に歩くことをおすすめします。元々修行のための鎖場であるので興味本位で鎖場を登ることは避けましょう。
石鎚山の山頂は弥山(標高1,974m)です。最高峰は天狗岳ですが、途中に危険個所があるためここで折り返しましょう。山頂には石鎚神社奥宮頂上社が鎮座します。頂上社には三体の御神像が祀られ、御神像にふれることができる「御内陣入(ごないじんいり)」の神事を受けることができます。
石鎚山の絶景と霊峰ゆかりの地
石鎚山山頂・弥山から南東の方向に最高峰の天狗岳があります。登山道がありますので山頂まで歩くことができますが、北東側が断崖絶壁の狭い岩稜を通過しなければなりません。上級者以外はおすすめしません。弥山から見る天狗岳は特徴的な山容です。紅葉の時期は美しく、この絶景を見るために登る人も多いです。弥山には宿泊できる山小屋があり、夕方や早朝の景観を楽しむこともできます。
石鎚神社は石鎚山をご神体とする神社で、石鎚山の山麓(西条市)には口之宮本社が鎮座します。木々に囲まれた小高い丘の上にあり、瀬戸内海やしまなみ海道を遠望できます。春は桜、初夏の新緑、秋は紅葉など四季折々の景観が楽しめます。
四国八十八箇所霊場の60番札所の横峰寺は厳石鎚山の中腹に位置し、八十八ヶ寺の中でも屈指の険路であることから「遍路ころがし」と呼ばれています。星ヶ森は横峰寺の奥の院で、山門よりさらに10分ほど登った場所にあります。ここは石鎚山の西の遥拝所となり、鳥居越しに仰ぎ見る石鎚山の姿は神々しさを感じずにはいられません。日程に余裕があればぜひ立ち寄ってみたい場所です。