Shiroumadake
日本海を望む北アルプス北端に聳える秀峰
FEATURE
白馬岳は北アルプス北部の後立山連峰に聳える山で、標高は2,932mです。主なルートは猿倉から日本三大雪渓に数えられる「白馬大雪渓」を登るコース、白馬鑓温泉小屋から白馬三山を縦走して登るコース、栂池高原からゴンドラとロープウェイを乗り継いで白馬大池から小蓮華山を縦走して登るコースがあります。山頂からは劔立山、鹿島槍ヶ岳などの北アルプス北部の名峰をはじめ遠く槍穂高連峰、中央・南アルプス、富士山まで見ることができます。
ポイント1
山の名前の「しろうま」は春先に山肌に現れる雪形が「代掻き馬」の形に見えることから「代掻き馬」→「代馬」→「白馬」と呼ばれるようになりました(諸説あります)。しかし行政上の所在地は白馬(はくば)村で、JRの駅も白馬(はくば)です。登山をする人は「しろうまに登る」などと言いますが、どこに泊まるのと聞かれれば「はくば山荘」に泊まると言う人が多いです。
ポイント2
栂池山荘から登るルートは、雄大な北アルプスの景色を眺めながら徐々に高度を上げていける人気のコースです。登山口の栂池平までは麓からゴンドラとロープウェイを乗り継いで約30分で到着します。到着した登山口には2件の山小屋と日本でも有数の高層湿原の「栂池自然園」があります。
ポイント3
良く晴れた日に白馬岳の山頂から北の方角を見ると長く続く縦走路の先に青い日本海が見られます。北アルプスの峰々を徐々に高度を下げながら縦走して最後は日本海の親不知海岸に到着する栂海(つがみ)新道と呼ばれる縦走路です。白馬岳から1日かけて朝日岳まで、そこから親不知まで途中には「栂海山荘」「白鳥小屋」の2つの無人小屋しかありません。食料や水、寝具などを自身で背負い、2泊3日の山行となるため、自身や仲間の体力、技術はもちろん、気象状況などを確認して上で綿密な計画のもとに入山しましょう。
エリア | 信州・北アルプス |
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標高 | 2,932m |
適期 | 7月~10月 |
アクセス | ■電車・バス・タクシー JR白馬駅よりアルピコ交通にて栂池ゴンドラ駅(所要約30分) JR長野駅よりアルピコ交通にて栂池ゴンドラ駅(所要約1時間40分) ■車 長野自動車道安曇野ICから北アルプスパノラマロード(県道306号)、国道148号を通り栂池ゴンドラ駐車場まで約1時間20分 上信越自動車道長野ICから国道19号、白馬長野有料道路(オリンピック道路)を通り白馬八方駐車場まで約1時間20分 |
乗り物 | 栂池ゴンドラリフト「イヴ」、栂池ロープウェイ |
RECOMMEND
ゴンドラ&ロープウェイ利用で山頂と山小屋へ
国内屈指の栂池高原スキー場のゴンドラとロープウェイを乗り継いで登山口の栂池平へ登ります。ここから天狗原を通り、森林帯の急登を越えて乗鞍岳山頂を過ぎると白馬大池に到着します。湖畔には時期にもよりますが、高山植物が咲く景色が広がります。登山道はここから標高を上げていきます。「船越の頭」、新潟県最高峰の「小蓮華山」などのピークを超えて長野・富山・新潟の3県の県境「三国境」へ。さらに馬の背と呼ばれる細い尾根をたどりながら行くと前方に長野県側が垂直に切れ落ちた独特な山容の白馬岳の山頂が見えてきます。劔、立山から槍・穂高までの北アルプス、目の前には雨飾山と糸魚川、黒部、富山など日本海側の街並を見ることができます。山頂から10分ほど下ると日本で初めて建てられた山小屋「白馬山荘」があり、さらに15分ほど下ると村営の山小屋「白馬岳頂上宿舎」があります。
[1日目] 栂池高原+++栂池平…白馬大池…小蓮華山…三国境…白馬岳山頂…白馬山荘または頂上宿舎(泊)
[2日目] 白馬山荘または頂上宿舎…白馬岳山頂…三国境…小蓮華山…白馬大池……栂池平+++栂池高原
… 徒歩 +++ロープウェイ・ゴンドラ
栂池平から天狗原の湿原を超えて雪渓の残る乗鞍岳の山頂に出ると青い湖面の白馬大池が見えてきます。周囲およそ2kmの火口湖で北アルプスの中では2番目に大きな池です。7月から8月にかけては池の周囲ではチングルマ、ハクサンコザクラなどの高山植物が咲き一面お花畑になります。湖畔には白馬大池山荘があります。休憩や宿泊もできますので、遅い時間にゴンドラに乗って登り始めた場合はここで宿泊する行程も考えましょう。ここから船越の頭に向かう登り坂は「雷鳥坂」と呼ばれています。その名の通り雷鳥が良くみられることで知られています。
栂池平からの登山ルートのちょうど半分あたりに船越の頭と呼ばれる小さなピークがあります。ここを超えると左右対称の山容の中央に登山道が続く美しい稜線が続きます。その登山道の先に「小蓮華山」のピークがあります。その美しい登山道はドラマのエンディングテーマのシーンに使われたことでも有名です。あまり知られていませんが小蓮華山は長野と新潟の県境にあり、標高2,766mは新潟県の最高地点となります。古くから信仰の山としても知られていて山頂には鉄剣のモニュメントが刺さっています。
白馬岳の山頂直下に建つ山小屋です。開設されたのは今から100年以上も前の明治39年で、日本で一番最初に建てられた山小屋としても知られています。山荘内には白馬山荘の歴史をったえる資料室もあります。また人気の白馬岳の直下に建っているため宿泊する人も多く、最大定員は800名とこちらも日本一です。小屋に併設されている山頂レストラン「スカイプラザ」は大きな窓からは目の前に杓子岳、白馬鑓ヶ岳が存在感たっぷりに見ることができます。通常の食事以外にも軽食や各種飲物も提供されており、宿泊以外の方も利用できます。
白馬岳へのルートの魅力をご紹介します
白馬岳は北アルプス北部に聳え、日本海に近いのが特徴です。また白馬岳より北は徐々に標高が下がっていくため、稜線からは糸魚川、黒部、富山といった日本海側の街と日本海、天気が良いと能登半島まで遠望できます。3,000m近くの稜線を海を見ながら歩けるのは北アルプス北部ならではの景色です。特に白馬大池から船越の頭にかけての登りのあたりと、三国境から馬の背を超えて山頂に至るあたりは広々とした気持ちのいい縦走路から海まで見渡せる絶景が広がります。
白馬村の登山口「猿倉」から1時間、白馬尻小屋に着くと目の前に大きな雪渓が現れます。日本三大雪渓のひとつ「白馬大雪渓」です。ここを一気に登り詰めるコースも人気ルートです。なんといっても魅力は真夏でも雪渓の上は涼しく、またアイゼンなどの滑り止めを付けてザクザクと登っていくのは大雪渓ルートのだいご味です。多くの人が行きかうルートですが、落石なども多く、また霧などが出るとルートを見失いそうになるため、十分な注意が必要です。また8月に後半になると雪渓が解けて危険になるためルートが雪渓を通らない秋道につけ変わります。
白馬岳の周辺には多くの温泉があります。もともとこのあたりは糸魚川静岡構造線に沿ったエリアで、地殻活動が活発な場所。そのため多くの温泉が湧出しています。白馬村の八方や栂池にも温泉施設がありますが、白馬大池からルートを分かれて降りていく「蓮華温泉」は山の中にある秘湯。上杉謙信が見つけたともいわれている山のいで湯です。宿泊施設は「蓮華温泉ロッジ」1件だけ。ロッジには男女別の内湯もありますが、4つある野天風呂巡りが人気です。ロッジから30分程度で巡ることはできますが、大自然の中で入る野天風呂は野趣たっぷり。脱衣所もない野天風呂ですが一度は入りたいお風呂です。