Kirishimayama

霧島山・きりしまやま(宮崎県)

秀麗な山容で霧島連山を代表する天孫降臨伝説の山

FEATURE

FEATURE

霧島山・きりしまやま(宮崎県)の概要

  • はじめて
  • 初級
  • 中級
  • 日帰り
  • 宿泊
  • リフト
  • ロープウェイ
  • ケーブルカー
  • ゴンドラ
  • 百名山

霧島山は鹿児島県と宮崎県をまたがる火山群の総称で、最高峰で日本百名山の韓国岳(からくにだけ)、新燃岳、高千穂峰(たかちほのみね)など20あまりの火山が連なっています。日本百名山、花の百名山にも名を連ね多くの登山者が訪れます。麓の高千穂河原ビジターセンターからは高千穂峰へのアクセスが良く2時間程度で山頂に至ることができます。

ポイント1

天孫降臨、神話の世界にタイムスリップ

霧島連山の名峰「高千穂峰」は古事記や日本書紀に記された「天孫降臨伝説」の舞台の山です。天照大神の孫に当たるニニギノミコトは三種の神器をたずさえ、天岩戸神話で活躍したアメノコヤネノミコトら5人の神様と一緒に高千穂の峰に天上界から降り立ったという伝説です。そんな神話や伝説に思いを馳せながら登山をするのも楽しみのひとつです。

ポイント2

春から初夏に色とりどりの花が咲く霧島山

霧島連山の登山の魅力はそこに咲く可憐な花々です。満開の時期は、霧島全山が紅紫色に染まるミヤマキリシマを筆頭に赤やピンクの花が咲くヤマツツジや霧島山にのみ自生する固有種のノカイドウ、花の百名山にも取り上げられたマイズルソウなどを山全体で見ることができます。これらの花々が花開く5月から6月は多くの登山者が訪れ美しい花々を楽しみます。

ポイント3

霧島連山の登山は火山情報に注意

霧島連山の噴火記録は奈良時代以降60回以上あり、そのほとんどは高千穂峰の御鉢と新燃岳で起こっています。最近でも2011年と2018年に噴火を起こし、現在(2021年4月)は新燃岳火口から半径1キロ以内の立ち入りが制限されています。高千穂河原ビジターセンターから高千穂峰に至るルートは2021年2月現在通行可能ですが、周辺の火山活動の影響により入山規制がされる場合もあるので登山の際は気象庁や周辺自治体の火山情報を確認しましょう。

基礎データ

エリア 九州・沖縄
標高 1,574m(高千穂峰)
適期 通年
アクセス ■電車・バス・タクシー
JR日豊本線霧島神宮駅→高千穂河原ビジターセンター(タクシー)所要約30分
●車
宮崎自動車道高原ICから国道223号線経由で高千穂河原ビジターセンターまで約45分
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霧島山・きりしまやま(宮崎県)のおすすめコース

「高千穂河原から高千穂峰へ」
天孫降臨の山として知られている高千穂峰は、神話時代から続く歴史、美しいコニーデ式の山容といい、霧島山の主峰の風格を十分に備えています。登山口の高千穂河原から鳥居をくぐりしばらく歩くと、かつて霧島神宮があった古宮址に着きます。古宮址で右折して御鉢・高千穂峰の登山道へ進みます。樹林を抜けた後の急斜面には新燃岳の噴火により登山道全体に火山灰などが堆積していて滑りやすく、注意が必要です。登りきると、御鉢の頂上に出ます。馬の背と呼ばれる火口の縁を回り込むように進みます。馬の背は幅が狭いため、強風や濃霧の時は注意して通りましょう。馬の背を過ぎてしばらく高千穂峰山頂へ続く登山道を登り、天孫降臨伝説の「天の逆鉾」が見えてきたら山頂です。山頂からは霧島連山や錦江湾、桜島などの遠望が楽しめます。

コースの概要

[往路] 高千穂河原ビジターセンター…霧島神宮古宮址…御鉢…高千穂峰
[復路] 高千穂峰…御鉢…霧島神宮古宮址…高千穂河原ビジターセンター
… 徒歩

霧島山をもっと知ろう「高千穂河原ビジターセンター」

高千穂河原は標高970mに位置し,高千穂峰や新燃岳の登山口です。その高千穂河原に建つ高千穂河原ビジターセンターは霧島山の自然や文化を紹介する展示施設です。展示室は7つのコーナーに分かれ、霧島山系のジオラマ模型や火山の成り立ちを紹介した写真パネル、岩石標本などが展示してあります。中でも高千穂峰山頂の天の逆鉾の模型と実際の山頂からの風景写真をあわせて体感できる高千穂峰山頂パノラマ体験コーナーや霧島錦江湾国立公園の自然を紹介するミニシアターは人気があります。高千穂峰に登る前にビジターセンターを訪れ、山のことを学んでから登ると見える景色や地形、花々も少し違って見えるかもしれません。

神話と噴火の歴史を語る霧島神宮古宮址

霧島神宮の案内によれば霧島神宮は神代の遠い昔から高千穂峰に鎮座し、本宮は高千穂峰と御鉢の中間に奉斎されていたのですが、度重なる噴火のため何度も壊れ、平安時代の西暦950年に天台宗の僧である性空上人が高千穂河原に再興したのが今の古宮址です。古宮址も鎌倉時代の1234年の大噴火により災禍に遭い、別の場所に約250年間移された後に室町時代の1484年に再興しています。その後江戸時代の1715年に薩摩藩主島津吉貴の手によって現在の場所に移され、鳥居と参道、そして社殿の跡地のみが残っています。まさに火山とともに鎮座してきた神宮の歴史を感じる場所です。古宮址の社殿跡入り口に立つ鳥居の向こうには神宮が御主神として祀るニニギノミコトが降り立った高千穂峰の御鉢も見え、昔から高千穂峰と霧島神宮は一体だったことを感じさせてくれます。

何度も噴火を繰り返した高千穂峰の御鉢火口

霧島神宮の古宮址から火山灰の堆積物が積もる急な登山道を登った先が御鉢です。御鉢とは火口カルデラのことで、富士山の火口も御鉢と呼ばれています。御鉢火口は1,300年前頃から高千穂峰の西側斜面で活動を始めた火山です。788年と1235年に大きな噴火があり、近代では明治から大正にかけて頻繁に噴火しました。最近では2003年に火山活動が一時活発になりましたが、それ以降は落ち着いています。御鉢火口には茶色や黒の縞模様の地層がむき出しになっている様子が見られ、回数を重ねた火山活動の歴史が見て取れます。登山道は火口北側の縁を通り、間近に中岳や新燃岳が目線の先に見えて霧島連山の雄大さを実感できます。

錦江湾の眺めが素晴らしい高千穂峰山頂

御鉢火口の最上部から少し下り、馬の背と呼ばれる狭い尾根道を進み高千穂峰との鞍部へ向かいます。最後の難関は山頂直下にある急勾配のガレ場です。この急坂を20分ほど登れば坂本龍馬が引き抜いたといわれる「天の逆鉾」が見えてきて、山頂はもう目の前です。山頂は360度の展望が楽しめ、新燃岳、韓国岳の霧島連山はもちろん錦江湾や桜島、その左側に大隅半島を見ることができます。下山は同じ道を戻りますが、急傾斜で火山性の軽石が多い登山道は上りよりも下りの方が足を滑らす事故が多く発生します。トレッキングポールをうまく活用したり、足の裏を平らに踏みしめるフラットフッティングを心がけて慎重に下山しましょう。

コースの見どころや楽しみ方

神話の歴史と火山の恵みを楽しもう

四季折々、季節ごとに趣が変わる霧島山

  • 紅葉
時 期
通年
場 所
霧島山

霧島連山で花といえば初夏に咲く紅紫色のミヤマキリシマが代表的です。その他にも季節を変えて多くの花が咲きます。6月になるとヤマアジサイやスイカズラが霧島山一帯でみられ、秋にはアキノキリンソウ、オミナエシなどが花が咲かせます。そして10月下旬になるとイロハカエデやオオモミジの葉が色鮮やかに山を赤く染まていきます。登山者が少なくなる冬には山頂付近では枯れ枝に霧氷が付き美しい姿を見せてくれます。季節ごとに登山者を楽しませてくれる奥深さが霧島連山の魅力です。

火山が生みだす温泉天国

  • 温泉
時 期
通年
場 所
霧島温泉郷

火山あるところに温泉ありと言いますが、霧島山も例外ではありません。霧島山周辺には多くの温泉が湧き出ていて、その中で新燃岳南西のエリアに湧き出す「新湯・林田・硫黄谷・丸尾・栗川・湯之谷・殿湯・関平・野々湯」の9つの温泉を総称して霧島温泉郷と呼びます。1,866年(慶応2年)京都寺田屋で攘夷派の浪士に襲われた坂本龍馬は西郷隆盛の勧めもあって傷の治療のため、妻おりょうと一緒に霧島温泉を訪れ療養をしたのが日本最初の新婚旅行と言われています。今でも霧島ホテルの館内には当時の龍馬の手紙のレプリカや写真などが展示されています。

神話時代から伝わるミステリー霧島七不思議

  • 日帰り
時 期
通年
場 所
霧島山周辺

霧島神宮周辺のエリアには昔からの言い伝えや不思議な現象が起こる川や謎めいた石があり、霧島七不思議と呼ばれています。天孫降臨の時、高天原から持ってきた種が残り山中で自然に陸稲が生える「蒔かずの種」や人間の力では動かすことのできない大きな岩が真ん中から割れ、10cmぐらいの隙間になぜか字が彫られている「文字岩」、普段は枯れているのに毎年6月になると突然水が湧き出し、暫くするとまた枯れ、その後また水が湧き出し再び枯れる「両度川」、霧島神宮の社殿奥で深夜になると神楽の音が聞こえると伝わる「夜中の神楽」などがあります。いずれも霧島神宮の周辺にあり、日帰りで巡ることができるので、下山後に神話時代のミステリーの世界をのぞいてみるのもおすすめです。

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