Tree
山に潤いを与え、彩を添える樹木
FEATURE
登山・トレッキングで観賞できる樹木は、公園の樹木や街路樹とは異なる魅力があります。
おすすめ1
ブナは美しく雄大な姿から「森の女王」と呼ばれています。新緑の頃に観賞したいブナの名所をご紹介いたします。
西大台は大台ヶ原の西側のエリアで、環境省により利用調整地区となっています。地区内に入るには事前に申請手続きが必要です。一日あたりの立入り人数を制限していることから、その分、手つかずの自然を観賞することができます。コース中にブナやミズナラの広葉樹、苔の群生地などが見られ、原生林の雰囲気を残しています。
十二湖は約4平方kmにわたって点在する33湖沼群の総称ですが、展望地から見下ろすと12の池が見えることから十二湖と呼ばれています。その中でも青池は神秘的で幻想的な風景で人気があります。十二湖周辺はブナの原生林で新緑の時期には美しく雄大なブナを観賞しながら、3~5時間のトレッキングを楽しむことができます。
おすすめ2
世界自然遺産に登録されている屋久島の原生林には樹齢1,000年を超えるスギの巨木を観賞できます。
スギは日本の固有植物で日本の山の景観を形作る要素ともなっていますが、屋久島のスギは大きさや樹齢が本州のスギとはスケールが桁違いです。現在、観賞できる最大のスギは縄文杉です。約22km、所要約10時間と大変長い行程ですが、登山道はよく整備され、危険な箇所もないことから多くの登山者が縄文杉を観賞するために訪れます。体力に自信がない人は30分~3時間程度で歩けるヤクスギランドや、3~6時間で歩ける白谷雲水峡など体力に応じたトレッキングコースを選ぶことをおすすめします。
おすすめ3
ヤマザクラの可憐で美しい姿を登山・トレッキングで観賞しましょう。
吉野山は日本屈指の桜の名所として知られています。吉野山は「下千本」「上千本」「中千本」「奥千本」の総称で、下千本から中千本、上千本、奥千本と順に開花するためヤマザクラの観賞を長い期間楽しめます。シロヤマザクラを中心に約200種3万本のヤマザクラが春の山を華やかに彩る風景は圧巻です。
名護岳は沖縄本島の北部に位置する標高345mの山です。名護岳で観賞できるカンヒザクラは日本一早く開花するサクラとして知られます。登山道はよく整備され、山頂までは往復で約3時間の行程で、初級者でも安心して登山・トレッキングを楽しめます。
おすすめ4
シラカバ・ダケカンバは山と高原で観賞できる樹木の代表格です。
シラカバというと高原の樹木というイメージを持つ方が多いと思いますが、寒冷地では平地でも自生しています。白い樹皮に緑の葉がとても美しく、秋には黄葉します。登山・トレッキングでは、シラカバがスタートを見送り、ゴールを出迎えてくれることが多くあります。上高地は穂高の山々の登山基地となり登山者にとっては聖地とも言える場所です。バスターミナルから少し先の河童橋、さらに明神、徳沢へは、シラカバの森と美しい梓川を観賞しながら歩くことができます。
ダケカンバはシラカバより標高が高い場所に自生しています。風雪に耐えることができる強い樹木で、登山・トレッキング中に雪によって曲がりくねった姿をよく見かけます。赤城山は黒檜山(標高1,828m)を最高峰とする日本百名山のひとつです。駒ヶ岳登山口から急坂を登り、駒ヶ岳を経由して黒檜山へ至るコースは約2時間30分の行程です。登山道にはダケカンバやナナカマドが多く、10月上旬から中旬にかけては紅葉を観賞しながら歩くことができます。
おすすめ5
キャラボクは庭木で知られますが、山に自生する天然のキャラボクは貴重な品種です。
大山(標高1,729m)の九合目付近には広大なキャラボクの群落が広がっています。この群落が日本最大で学術的にも貴重であることから、ダイセンキャラボクとして国の特別天然記念物に指定されています。キャラボクはイチイの変種で、寒さに強く、山形県の鳥海山から日本海沿いに中国地方の山地まで分布していて、大山はその南西限です。大山の登山・トレッキングは往復約6時間の所要時間で、よく整備された登山道を日帰りで歩くことができます。
POINT
樹木を観賞する登山・トレッキングで注意すべきことをご紹介します。
注意点1
樹木の中でも貴重な品種は保護のために厳重に管理されていることが多いことから、直接触れることは避けましょう。登山道は分かりやすい場合が多いので道迷いの心配はあまりありませんが、登山道が不明瞭で、管理をされていない場所では道に迷わないよう十分注意をしましょう。GPS、登山地図、地図アプリの活用、現在地の確認などを行い、迷ったかなと感じたら、まずは引き返すことが基本です。慌てずに落ち着いて行動しましょう。
注意点2
樹木を観賞する登山・トレッキングでは転倒・滑落に注意しましょう。森の中を歩く場合は木の根でつまづいたり、滑ることがあります。落葉後の森は落ち葉で隠れた石や木の根が転倒の原因になる場合があります。足元を注意することも肝心ですが、前方の枝に頭を打ち付けることもあるので前方と足元をバランスよく確認し歩きましょう。転倒防止のためにはストック(トレッキングポール)の利用、怪我防止のためには手袋を着用することをおすすめします。
注意点3
原生林の雰囲気を残すエリアで登山・トレッキングを楽しむ際は、野生動物や害虫に注意が必要です。人に危害を加える野生動物はツキノワグマ(北海道はヒグマ)、イノシシなどです。害虫はスズメバチ、ブヨなどの毒虫のほか、ヤマビルにも気を付けましょう。それぞれ対処の方法が異なりますが、共通して重要な点は事前の情報収集です。登山口などにある掲示板、地元の人の情報、インターネットで知ることができる情報も多くあります。また、すれ違う登山者からの情報も貴重なので挨拶と共に情報収集をすることも心がけましょう。
Recent Articles