Hot-spring
山の中の温泉でヒーリングタイム
FEATURE
登山・トレッキングと温泉はとても相性が良い組み合わせです。自然の景観と山のいで湯の雰囲気が心身共に癒してくれます。
おすすめ1
雄大な風景を眺めながら浸かることができる露天風呂は、自然を肌で感じることができて、解放感も抜群です。
白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)は白馬岳(しろうまだけ)、杓子岳(しゃくしだけ)と共に白馬三山を成す山で、その中腹の標高2,100mにある雲上の温泉が白馬鑓(はくばやり)温泉です。山中にあり、猿倉登山口からの最短ルートを歩いても到着まで4時間以上かかかる秘湯です。自慢の露天風呂からは信越の名峰の他、朝日や星空などを眺めることができます。温泉は「標高日本一の天然湧出量」と謳われています。
※注:2021年は休業です
本沢温泉は八ヶ岳の中腹にあります。一軒宿(山小屋)で冬季も営業しており、立山のみくりが池温泉、同じ八ヶ岳の赤岳鉱泉に次いで、日本で3番目に高所にある温泉です。通年営業の温泉宿としては日本で2番目の高所です(通年営業の温泉宿の最高所は赤岳鉱泉)。山小屋には内湯があり、24時間入浴できます。本沢温泉から10分ほど歩いた場所に「日本最高所の露天風呂」である「雲上の湯」があります。大きさは3〜4人くらい入れる大きさで、脱衣所や目隠しなど全くない正に秘湯です。
高天原(たかまがはら)温泉は、北アルプス・水晶岳の麓の高天原湿原の標高約2,100 mの場所に位置する温泉です。山奥であることから徒歩でしか行くことができず、また、どの登山口からも距離があるため1日でたどり着くことは困難です。片道約13時間の道のりは登ったり下ったりの本格的な登山・トレッキングで、通常は山小屋で3泊する行程です。このようなアクセスの困難さから「日本一遠い温泉」と言われています。温泉施設は、源泉をそのまま注いでいる露天風呂が沢沿いに3つあり「からまつの湯」と呼ばれています。うち1つは囲いがあり女性用ですが、脱衣所は簡易なものしかありません。
おすすめ2
車で直接行けない場所で、歩いてしか行けない山小屋にある秘湯の入浴は登山・トレッキングの醍醐味のひとつです。
三斗小屋温泉(さんどごやおんせん)は、那須岳の山中の標高約1,500mに位置しています。那須の山奥で、最短4kmほど歩けば極上の温泉に辿り着きます。1142年に発見されたと伝えられる歴史ある温泉で、現在、2軒の温泉宿(山小屋)があります。そのひとつ「煙草屋旅館」は大小21の個室があり、4月中旬頃から11月下旬まで営業をしています。日帰り温泉も楽しめますが、やはり、泊まってゆっくり温泉入浴と那須岳の登山・トレッキングを楽しむことをおすすめします。
九重山の山中、坊ガツル湿原の北西稜にある法華院(ほっけいん)温泉は九州最高所の温泉です。一軒宿(山小屋)である「法華院温泉山荘」は1882年創業という古い歴史を持ちます。かつては信仰登山の霊場として栄えましたが、現在は登山・トレッキングを楽しむ人たちのオアシスとなっています。最短ルートは、長者原のくじゅう登山口から片道約2時間の行程で初級者でも歩くことができます。九重連山の四季折々の風景を楽しみ、心身をリフレッシュできる九州随一の秘湯です。
三条の湯は、日本百名山・雲取山の中腹、標高1,103mにある山小屋です。雲取山は標高2,017mの東京都最高峰の日本百名山です。山頂からの展望は非常によく、秩父の山々や富士山が眺められます。雲取山は一般的に1泊の行程で歩くので、三条の湯に泊まれば良質な温泉で入浴も楽しめます。三条の湯まではよく整備された自然林がとても美しい登山道を緩やかに登ります。三条の湯の温泉は男女別の内湯となっています。
おすすめ3
登山・トレッキング後の疲れを直ぐに癒してくれる便利で魅力的な温泉がある山をご紹介します。
立山は、日本百名山、日本三霊山のひとつで、天下の名峰と称えられ古くから信仰の山としても栄えてきました。立山黒部アルペンルートの最高地点である室堂は登山・トレッキングの起点です。室堂から15分ほど歩いた所にあるみくりが池は立山をバックに美しいエメラルドグリーンの湖面が輝きます。周辺は高山植物の楽園でライチョウに出会うこともあります。みくりが池のすぐ近くにある「みくりが池温泉」は標高2,410mで、日本最高所に位置する天然温泉です。天然掛け流しの白濁した温泉で、登山後のリフレッシュにも最適な秘湯ムード溢れるいで湯です。
八甲田山(はっこうださん)は大岳(1,585m)を主峰とする山々の総称です。10月上旬の紅葉の時期には美しい景観を求めて多くの登山者で賑わいます。登山口のひとつが酸ヶ湯(すかゆ)温泉です。約300年前に発見されたと伝えられており、筋肉痛や関節痛、冷え性、疲労回復など、さまざまな体の不調に効果があると言われています。「ヒバ千人風呂」と呼ばれる混浴の大浴場が有名で、青森県産のヒバをふんだんに使用しており、テニスコート1面分くらいの広さに天井までの高さが約5mという大きな空間です。仕切りこそありませんが、女性専用のスペースもあります。※立ち寄り入浴の時間は9時から16時となります。
白馬岳は、北アルプスの一番北に位置しており、槍ヶ岳とともに登山者の人気を二分している山です。その登山口のひとつ、中部山岳国立公園内の標高1,475m付近にあるのが蓮華(れんげ)温泉です。新潟県側から北アルプスを目指す登山者たちの拠点でもあります。一軒宿である蓮華温泉ロッジには4つの露天風呂があり、野趣あふれる雰囲気でそれぞれに個性があります。露天風呂には脱衣所はありませんが、ロッジの中には男女別の内湯があり、脱衣所、シャワー、リンスインシャンプーとボディソープもあります。
おすすめ4
登山・トレッキングでせっかく遠方に出かけたなら人気温泉地に泊まりましょう。人気の山と名湯の組み合わをご紹介します。
開聞岳(かいもんだけ)は鹿児島県の薩摩半島の最南端に位置する標高が924mの独立峰で、日本百名山の一つです。別名薩摩富士とも呼ばれ、指宿のシンボルであり、頂上からは霧島山や屋久島、鹿児島の観光名所を望むことができます。「砂むし風呂」で有名な指宿(いぶすき)温泉は泉源が1,000か所以上を数える一大温泉郷です。温泉地に植栽されたハイビスカスなどが南国ムードを高めています。高級旅館から長期滞在できる湯治場的旅館まで、多くの温泉旅館が軒を連ねます。
由布院の北東部にそびえる標高1,584mの由布岳は双耳峰(二つのピーク)を持つ美しく荘厳な姿から豊後富士と呼ばれ親しまれています。古くから神の山と崇められる名峰は初夏のミヤマキリシマ、秋は紅葉、冬は霧氷と、一年を通して登山者が訪れる人気の山です。山頂からは由布院の町並みや、別府湾、九重山などを望むことができます。由布岳の麓、由布院温泉は日本屈指の人気温泉地として知られています。温泉湧出量、源泉数ともに全国2位の豊富な湯量を誇り、由布見通り、金鱗湖(きんりんこ)、湯の坪街道には、おしゃれな雑貨屋やレストラン、美術館などが点在して観光客で溢れています。
秋田駒ヶ岳は最高峰である標高1,637mの男女岳(おなめだけ)や男岳(おだけ)等の総称で、数百種にも及ぶと言われる高山植物の宝庫です。山頂からは山並みと田沢湖が一望できます。秋田駒ヶ岳の麓、十和田・八幡平国立公園の乳頭山麓に点在する七湯(鶴の湯・妙乃湯・蟹場・大釜・孫六・黒湯・休暇村乳頭温泉郷)が「乳頭温泉郷」と呼ばれています。ノスタルジックな雰囲気と共に、七湯の泉質が多種多様なことも魅力のひとつです。
おすすめ5
知る人ぞ知る登山者に人気の温泉をご紹介します。登山・トレッキング後にぜひ立ち寄りたい温泉地です。
伊吹山は滋賀県と岐阜県の県境にそびえる日本百名山の1つで、独立峰であるため遠方からもよく見えます。古くから信仰の山として崇められ、東征中のヤマトタケルノミコトが山の神に襲われ命を落とした伝説でも知られています。山域に自生する薬草や亜高山植物、野鳥、昆虫の宝庫としても知られ、山頂の花畑は、国の天然記念物に指定されています。伊吹山山頂駐車場から車で約45分ほどで池田温泉に着きます。池田温泉はつるつる感が強い、全国的にも大変珍しい純重曹の温泉で、美肌効果が期待できます。隣接する道の駅では、地元の新鮮野菜や特産品などのショッピングや足湯が楽しめます。
大峰山は最高峰を八経ヶ岳(標高1,915m)とする山々の総称です。一帯は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されています。八経ヶ岳は近畿地方の最高峰であり、山頂付近からの大展望は圧巻です。大峰山は古来より修験道の聖地であるため、現在でも信仰を目的に歩く人が絶えません。奈良県吉野郡天川村に位置する洞川(どろがわ)温泉は、標高約820mの高地に広がる温泉郷です。周囲を2,000m級の山々に囲まれ、夏でも涼しく、冬には奈良では珍しく雪が積もる温泉街です。修験道の修行をする行者のための宿場として古くから栄え、昭和レトロな町並みの魅力に女性の宿泊客も増えています。
三方岩岳は3つの峰からなる標高1,736mの山で、白山に近いことから白山展望の山として人気があります。ブナなどの広葉樹やハイマツなどの針葉樹が美しく、草花も多種多様で森の息吹を感じることができます。中宮(ちゅうぐう)温泉は、石川県白山市にある温泉です。白山白川郷ホワイトロードの入口にあり、12月から4月までは積雪のため閉鎖されます。胃腸の湯として古来より親しまれており、1,300年前から続くといわれる秘境の温泉です。
POINT
登山・トレッキングで温泉地に立ち寄ることは観光とは違った趣がありますが、立ち寄る際の服装、持ち物・装備の準備など、温泉入浴する際には独特の注意点があります。
注意点1
登山地図にはわかりやすく登山道や目的地が示されていますが、登山道の状況は変わることがあります。例えば、数日前に大雨が降って道が崩れていたり、橋が壊れていたり、倒木があることもあります。温泉は沢沿いにあることが多く、天候により通行止めになることもあります。悪天候の後などは道が不通になってしまうこともあるので、登山地図の所要時間を鵜呑みにせずに事前に現地情報を入手しましょう。山小屋に泊まる場合は電話で最新情報を確認しましょう。登山・トレッキングのスケジュールは余裕を持って計画することが重要です。
注意点2
山麓の温泉旅館だけでなく、山小屋に宿泊する場合であっても必ず予約をしましょう。山小屋は宿泊者の数を事前に把握して、食事のための食材等を調達します。混雑時には寝床の場所も調整が必要になります。また、山小屋には季節にもよりますがなるべく15時までには到着しましょう。天候の悪化などで登山を中止する時は必ず山小屋に連絡する必要があります。山中では携帯電話が使えないエリアもあるので、早めに判断することが重要です。
注意点3
山の中にある温泉は混浴であったり、脱衣室やロッカーがないところもあります。更衣室があっても簡素な場合が多いので寒い時期でなければなるべく脱ぎ着しやすい服装で出かけることをおすすめします。混浴かどうかなどは、事前に確認をして出かけましょう。露天風呂は屋外にあることが大半で登山靴で出かけなければならないこともあります。タオルやシャンプー類は持参することが基本です。自然環境保護のために石鹸、シャンプーなどを使用できない所もあるので注意が必要です。
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