Flower
高山植物や里山・高原・湿原に咲く代表的な季節の花をご紹介いたします
FEATURE
登山・トレッキングではその場所、その時期にしか見ることができない花を観賞できることがあります。
おすすめの花1
ミステリアスで美しいクロユリは夏山シーズンのシンボル的な高山植物です。
クロユリは石川県の郷土の花であり、石川県最高峰・白山(標高2,702m)で観賞できる登山者に人気が高い高山植物です。夏山登山シーズンである6~8月、標高2,000m以上の草地で観賞でき、特に、大きな山小屋がある室堂や、お池めぐりコースなどで大きな群落が見られます。登山者が多い別当出合から登り、室堂で1泊するルートが一般的です。
乗鞍岳の最高峰・剣ヶ峰(標高3,026m)へ登る際の起点とされることが多い畳平は標高2,700m超にあるバスターミナルです。長野県側と岐阜県側からシャトルバスでアクセスできます。駐車場から5分ほど下ると花畑があり、40分程度で歩くことができる周回コースとなっています。雪解けが始まる7月から8月下旬頃まで色とりどりの花が咲き乱れますが、クロユリの群生は必見です。
おすすめの花2
コマクサは高山植物の女王と呼ばれ、可憐で生命力あふれるその姿から登山者に人気が高く、夏山を代表する高山植物のひとつです。
コマクサは植物が生き抜くためには環境が厳しい高山帯の砂礫地を好んで生えています。この条件に適した場所が御嶽山にある継子岳(標高2,859m)へ向かう稜線です。岐阜川の登山口である濁河温泉から登り、飛騨頂上を経由して継子岳に向かう途中の稜線に多く見られます。
コマクサが観賞できる山として良く知られているのが北アルプスの燕岳(標高2,763m)です。山頂付近の風化した花崗岩一帯にコマクサの群欄が点在しており一見の価値があります。中房温泉登山口から登山道を約5時間登ります。急登が続きますが登山道はよく整備されているので安心です。
おすすめの花3
日本に咲くエーデルワイスの仲間で、可憐で気高い姿は空から降ってきた星のようです。
ヒメウスユキソウは中央アルプスだけに咲く希少種で、別名はコマウスユキソウです。稜線の岩場や砂地に自生しています。路線バスとロープウェイを利用して標高2,612mの千畳敷に向かい、そこから約2時間登ると日本百名山の木曽駒ヶ岳(標高2,956m)です。千畳敷には四季折々の花が咲き登山者の目を楽しませてくれます。
かんらん岩が変質・変成して形成された蛇紋岩はその名の通り蛇の皮膚のような光沢ができ、早池峰山の地質の特徴のひとつです。その蛇紋岩にだけに生えるのがハヤチネウスユキソウです。ヨーロッパアルプスに咲くエーデルワイスによく似ていて登山者を魅了しています。
おすすめの花4
湿原に咲く花・ミズバショウは春の訪れを告げる花です。
尾瀬のシンボルといえば、唱歌「夏の思い出」で知られるミズバショウです。歌では夏の花のイメージがありますが、開花は5~6月で、この時期の尾瀬はまだ春です。尾瀬ヶ原(標高1,400m)でミズバショウが観賞できる時期は雪が解ける頃で木道も歩きやすくなります。アヤメ平は標高1,960mで尾瀬ヶ原・鳩待峠のいずれかよりアクセスします。尾瀬ヶ原より花の見頃が遅くなり登山者も少ないのでゆっくり楽しめます。尾瀬ヶ原や周辺の山々を展望できることも魅力です。
栂池自然園は標高1,900mにある日本有数の高層湿原です。ゴンドラとロープウェイでアクセスでき、よく整備された木道を歩くことができるので安心です。ミズバショウのほか、ニッコウキスゲ、チングルマ、シラネアオイなど多種多様な花々が咲き誇ります。
おすすめの花5
シャクナゲは日本人には馴染みある花で多くの種類が自生しています。
大台ヶ原のシャクナゲはツクシシャクナゲとホンシャクナゲで、濃いピンク色の大きな花が美しく咲きます。大蛇嵓(だいじゃぐら)やシオカラ谷などで観賞することができます。大台ヶ原の登山・トレッキングのルートは東大台と西大台に分かれ、シャクナゲ観賞には東大台がおすすめです。変化に富んだコースで大海原の展望も楽しめます。
天城山は主峰の万三郎岳(標高1,406m)や万二郎岳などの山の総称です。初夏になると固有種のアマギシャクナゲの花が観賞できることで人気があります。5時間程度の周回コースで歩くことができるため初級者にも安心です。
POINT
花を観賞することを目的とした登山・トレッキングの注意点をご紹介いたします。
注意点1
花が最盛期を迎える頃は雪解け間もない時期や入梅する時期に当たることが多くあります。運よく快晴に恵まれれば、快適な登山・トレッキングが楽しめますが、雨が降った場合の準備を万全に出かけましょう。登山・トレッキング用レインウェア・雨具の用意はもちろん、雪解け後の荒れた登山道に備えて、ストック(トレッキングポール)やスパッツ(ゲイター)があると安心です。
注意点2
花が見ごろを迎える頃は春の終わりから初夏にかけての時期が多く、日中は思いのほか暑くなることもあります。朝夕と日中の寒暖差が大きくなることに備えて、レイヤリング(重ね着)を基本とした服装選びをしましょう。日除けの帽子、着替えやタオルも忘れないようにしましょう。また、この時期はブヨや蜂などの毒虫が出ることもあるので、防虫スプレーや虫刺され薬も持参することをおすすめします。
注意点3
花を観賞することを目的として登山・トレッキングに出かける人も多いため、花の最盛期になると多くの登山者でにぎわうことがあります。マイカーで出かける場合は駐車場が満車になることもあるため、早めに出発することをおすすめします。登山道ではすれ違いや追い越しで立ち止まることもありますが、イライラせずに、お互い様の精神で譲り合いを心がけましょう。
Recent Articles