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自分の足で辿り着いて観賞する絶景は格別です。
FEATURE
登山・トレッキングでは様々な絶景を観賞できます。山から見る絶景はより印象的ですが、自分の足で辿り着いた場所から観賞する景観は格別の美しさです。
おすすめ1
標高が高い山では雲が織りなす光景も見どころで、スケールの大きな雲海や滝雲は登山・トレッキングでしか観賞できない絶景です。
富士山から眺める雲海の魅力はその広大さにあり、他に類を見ない美しさで毎年訪れる登山者が多いのもうなずけます。日本一の標高を誇る富士山(標高3,776m)は、山梨県側では富士スバルラインを通行して五合目までバスでアクセスできます。五合目で標高は既に2,300mを超え雲上の世界、山頂まで登れば360度のパノラマ絶景です。標高が低い地点から雲海を観賞するには、寒暖差が大きい秋から初春で気温が低い早朝というような特殊な条件が必要ですが、日本一高い富士山なら夏山シーズン中に雲海を観賞する機会に恵まれています。
滝雲とは、大量の雲が谷間に蓄積されて、稜線を越えて滝のように流れ落ちる現象のことです。滝雲は全国で観賞できますが標高が高く大きな谷間がある北アルプスでは観賞するチャンスが多くあります。燕岳(標高2,763m)は安曇野から山頂近くの山小屋に宿泊する1泊の行程が一般的です。滝雲は山小屋付近から観賞でき、適期は寒暖差が大きい秋の早朝か夕方で、よく晴れた日がベストです。山小屋に宿泊して滝雲を観賞するチャンスを待ちましょう。
おすすめ2
ご来光とは、山の頂上などから眺める朝日のことで、神々しい輝きがありご来光を観賞するために山を訪れる登山者は後を絶ちません。
ご来光は白山の山頂にある白山神社奥宮から眺めることができ、まさに神の山と思えるほどの美しさです。白山(2,702m)は日本百名山であり、日本三名山(三霊山)でもある人気の山です。山小屋がある室堂から1時間程度で山頂の御前峰です。
竜ヶ岳(標高1,485m)の山頂から、12月中旬から1月初旬の数日間富士山の頂上付近から太陽が昇る「ダイヤモンド富士」を観賞できます。真冬なので防寒対策をしっかりすることと、滑り止めの軽アイゼンなどを準備しましょう。竜ヶ岳は富士山の麓、本栖湖の南に位置する山で、初級者でも登りやすい山です。
おすすめ3
自生している苔の大群生地は天然の日本庭園と言える美しさです。
八ヶ岳の北の麓にある白駒池周辺は苔の大群生地となっています。約500種類の苔が生息すると言われ、まさに苔の森です。その神秘的な景観から多くの登山者、ハイカー、カメラマンに人気エリアです。北八ヶ岳エリアは初級者でも歩きやすいルートが多く、白駒池からはニュウなどの展望の良い山へアクセスできます。
屋久島の北部にある白谷雲水峡は苔の群生地として良く知られ、人気アニメの舞台のモデルになったとも言われています。太鼓岩までの往復コースは苔の群生地や屋久杉の大木を観賞しながら歩くことができる人気ルートです。太鼓岩からは新緑の頃には美しい原生林を見下ろすことができます。
おすすめ4
スノーモンスターとは、山が雪で覆われる時期に樹木に雪と氷が付着して樹氷となり巨大化したもので、その姿はまさにモンスターです。
八甲田山(標高1,585m)では、初級者でもロープウェイを利用してスノーモンスターを観賞をすることができます。百名山のひとつ八甲田山は日本青森県の代表的な山で、小説や映画の舞台にもなり全国的によく知られています。スノーモンスターを鑑賞できる冬の八甲田山は極寒の地となります。ピッケルやアイゼンなどの本格的な冬山装備は不要ですが、山頂付近はマイナス10度以下になることもあるため、防寒対策は万全にしましょう。雪が深い場所もあるため、スノーシューがあると安心です。麓でアウターレイヤー(ジャケット)やスノーシューなどのレンタルを行っているショップもあるので確認してみましょう。
蔵王山(標高1,841m)は冬でもロープウェイを営業しているため、山麓からスノーモンスターがある山頂駅までアクセスできます。ピッケルやアイゼンなどの本格的な冬山装備は不要ですが、防寒をしっかりして出かけましょう。
おすすめ5
モルゲンロートとは朝日に照らされて山肌がピンク色に染まる現象で、語源はドイツ語です。ご来光に対峙する山々が神々しい姿になります。
カールとは氷河によってスプーンでえぐられたような形状となった地形で、涸沢カール(標高2,300m)は日本の代表的なカールです。上高地から6~7時間歩くと到着します。山小屋が2軒と広大なテント場があり、紅葉の名所として良く知られています。涸沢カールではご来光に照らされた穂高の山々が美しく輝きます。
蝶ヶ岳の山頂付近はからは槍ヶ岳から穂高岳に連なる山々を間近に見ることができ、朝日に照らされる姿は広大なアートとも言える美しさです。蝶ヶ岳へは奥上高地の徳沢や安曇野から直接登ることができます。
おすすめ6
空気が澄み、灯りが少ない山は星空観賞に好条件です。山で観賞する星空の魅力をお伝えします。
雷鳥沢は立山の麓にある湿原で、テント場になっています。立山アルペンルートの拠点である室堂から歩いて30分ほどで立山の主峰・雄山、最高峰・大汝山などを仰ぎ見ることができ、山々へ登山道が続くことから登山基地になっています。また、夜は灯りがほとんどないことから、星空観賞にも最適です。立山連山の上空に広がる満天の星空は美しいだけでなく力強さも感じます。
乗鞍岳は畳平や最高峰の剣ヶ峰の麓に山小屋があるため、宿泊して星空やご来光を観賞することができます。乗鞍岳へは標高2,400mの畳平までバスでアクセスできます。7~8月なら広大な花畑で高山植物観賞、9~10月なら紅葉観賞が楽しめます。標高が高いので星空観賞にも環境は抜群です。
POINT
登山・トレッキングで絶景を観賞するためには安全であることが大前提です。入念な計画と万全の準備で出かけましょう。
注意点1
絶景が観賞できる場所は特殊な環境下にあることが多く、さらに限られた時期と時間でしか観賞することができません。例えばスノーモンスターを観賞するためには標高が高い極寒の山、モルゲンロートを観賞するためには大きな山々が壁のようにそそり立ち展望が開けた場所でさらに早朝という条件が必要です。絶景観賞には高い難易度がありますが、しっかり計画をすることで観賞できる確率は上がります。
注意点2
絶景を観賞するためには時期や時間に応じた服装が必要です。春や秋、早朝や夕方などで気温が下がる時期と時間には十分な防寒対策をしましょう。高度が上がるにつれて気温が下がるので、普段生活している場所と同じ感覚では失敗します。登山・トレッキングの服装は重ね着がポイントです。また、帽子や手袋も用意しましょう。
注意点3
気温が下がる時期には服装の種類も増えるので、大きめのザック(リュックサック・バックパック)の方が適しています。雪が積もる時期ならくるぶしまで隠れるハイカットの登山靴のほか、滑り止めのアイゼンなどが必要な場合もあります。さらに、絶景を記録するためのカメラがあると楽しみが増えます。一眼レフカメラやミラーレスカメラなら星空や夕景、ご来光などを美しく撮ることができます。