Koyasan Nyoninmichi
歩いて巡る真言密教の聖地
FEATURE
高野山とは、1200年前に弘法大師・空海が修禅の道場として開いた真言密教の聖地であり、標高1,000m級の山々に囲まれた地域一帯を言います。全域が真言宗の総本山である金剛峯寺で、空海の御廟がある奥の院と壇上伽藍は2大聖地として信仰を集めています。100を超える寺院の約半数が宿坊として一般の参拝者も宿泊することができ、修行体験をしたり、精進料理をいただくこともできます。高野山には幾つもの参詣道があります。そのひとつ、奥の院を中心に蓮の花びらに例えられた女人道(にょにんみち)は、明治時代まで女人禁制であった高野山を歩きながら偲ぶことができます。
ポイント1
高野山は明治時代に入るまで女人禁制でした。そのため、高野山の各入口には女性が参拝するための籠り堂として女人堂がつくられました。女人道とは、高野山が女人禁制の時代に女性が参拝するための女人堂を結ぶ巡礼の道のことをいいます。奥の院を中心にして蓮の花びらにたとえられ、古より脈々と続く巡礼の道として今でも歩く人が絶えることはありません。
ポイント2
高野山は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。高野山の中心となる金剛峯寺の他、参詣道として、女人道や町石道(ちょういしみち)などが登録資産となっています。町石道は、九度山町の慈尊院から高野山へ通じる高野山の表参道です。長年、主要道として利用されており、国の史跡にもなっています。その名の由来は、道標として、1町(約109m)ごとに「町石」と呼ばれる石柱が建てられたことによるといわれています。
ポイント3
高野山は真言密教の聖地で、日本屈指のパワースポットといわれています。その中でも2大聖地と呼ばれる奥の院と壇上伽藍は最強のパワースポットといわれています。空海が入定されたと伝えられている場所が奥の院の霊廟で、現在でも禅定を続けているとされています。壇上伽藍は空海が高野山を開いた際に最初に整備したとされる場所で、「胎蔵曼荼羅」の世界を表しているといわれています。
エリア | 近畿 |
---|---|
ジャンル | 日帰り、宿泊 |
レベル | 中級 |
歩行時間 | 約4時間00分 |
歩行距離 | 約11km |
アクセス | ■電車・バス 橋本駅より南海電鉄高野線「天空」にて極楽橋駅まで約40分、極楽橋駅よりケーブルカーにて高野山駅まで約5分。 ■車 阪和自動車道・岸和田和泉ICより約70分 京阪奈自動車道・かつらぎ西ICより約40分 |
乗り物 | ケーブルカー |
RECOMMEND
女人道は、特に起点となる場所は定められていませんが、一般的には不動坂口女人堂からスタートします。今回は不動坂女人堂から幾つかの女人堂跡を巡りながら、弁天岳、大門、円通律寺を経由して奥の院前駐車場がある中の橋をゴールとするコースをご紹介します。
不動口女人堂…弁天岳…大門口女人堂跡…大門…龍神口女人堂跡…相の浦口女人堂跡…大滝口女人堂跡…円通律寺…大峰口女人堂跡…中の橋
女人堂とは、女人禁制により女性が山内に入ることができなかった時代につくられた籠もり堂のことです。各女人堂をめぐる結界に沿ってつくられた参詣道が女人道です。昔は高野山の街道の七つの入口にそれぞれ女人堂があり、女性たちは離れたこの地から参詣していました。幾多の女人堂の中で、現存しているのは不動坂口の女人堂だけでここには弁財天、大日如来、神変大菩薩が祀られています。このお堂の周辺は高野六木(こうやりくぼく)を中心とする自然林が保護されていて、高野山の自然の豊かさを感じることができます。
大門は高野山の総門です。現在の門は約200年前に再建されたもので、当時は女人結界であり、町石道の終点にあたる場所です。両脇に金剛力士像が立ち、門を守ります。約5.5mの大きさの像は東大寺南大門の仁王像に次いで日本で2番目の大きさです。門前からは天気がよければ遠く淡路島を望むことができます。また、夕日の名所としても知られており、国の重要文化財に指定されています。
女人道のゴールとなる中の橋は奥の院の入口のひとつです。奥の院とは、一般の寺院でいう墓域のことで、御廟橋の先に灯籠堂があり、その裏に空海の御廟があります。奥の院の正式な参道入口である一の橋から弘法大師御廟まで通じる約2kmの参道には、樹齢数百年の杉がそびえ、その基に20万以上といわれる墓や供養塔やが建ち並びます。それらは明治時代以前の公家や大名から、現代の企業や個人など様々で、高野山の奥深さを感じさせる荘厳な光景が広がっています。
高野山で「泊まって」、「食べて」、「見る」を体験
高野山は日帰りでも楽しめますが、せっかくなら宿泊してゆっくり過ごしましょう。周辺にホテルや旅館もありますが、山内の宿坊(しゅくぼう)に泊まれば、一層、高野山の魅力を感じることができます。宿坊とは、寺院などの参拝者のための宿泊施設のことで、元々は僧侶が宿泊する場所でしたが、観光客を受け入れる施設が増えてきて、設備やサービスも充実するようになりました。高野山には50を超える宿坊があり、精進料理の食事の他、座禅、写経、読経などの修行体験ができ人気があります。宿泊客はお酒やビールなどの飲酒も可能で、天然温泉に入浴ができる宿坊もあります。設備やアメニティは旅館と遜色ないので快適に過ごすことができます。日常から離れた静かな環境で過ごし、癒しの旅を楽しみましょう。
精進料理とは、野菜や豆腐など植物性の食材のみでつくっている料理です。元々は仏教の厳しい戒律に従った食事ですが、高野山の宿坊などで食べることができる精進料理は、地産の旬の野菜や名物の高野豆腐、金山寺わさびなどを使って食べやすさや美味しさはもちろん、見た目にもこだわっています。宿泊でも、昼食でもいただけますので、高野山を訪れたらぜひ精進料理を味わってみましょう。
高野山を代表する花は町花にもなっている石楠花(しゃくなげ)です。薄紅色の花が咲く頃には石楠花の花を見ようと多くの人が高野山を訪れます。代表的な樹木は高野槙(こうやまき)で、高野山の霊木とされ、また、町の木として知られています。高野山では古くから、杉、檜、樅、栂、赤松、そして高野槇の6種類の針葉樹を高野六木と呼んで大切にしてきました。六木は寺院の建築用材としても用いられますが、寺院や伽藍の修繕用材以外の伐採は禁止されています。高野山のハイキングで、季節の花や樹木を観賞しながら豊かな自然を感じましょう。
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